国家通貨審議会は平穏に=インフレ目標は変更なし=大統領の中銀攻撃を牽制

【既報関連】財相、企画相、中銀総裁による新政権初の国家通貨審議会(CMN)が16日に開催され、将来の財政・通貨政策に関する話し合いが平和裏に行われた。また、ルーラ大統領が最低賃金(最賃)の調整や所得税の課税基準の見直しを公式に認めたと16、17日付現地紙、サイトが報じた。
CMNの初会合は財務省での昼食会に続いて開催され、双方で約2時間に及ぶ会談の時が持たれた。ハダジ財相は会合後、初回会合は「最初の良い接近の時」となり、財政政策と通貨政策について話し合ったと語った。
また、会合は平穏に行われ、財政をコントロールするための歳出上限法に代わる代替案や税制改革案が承認された後の経済はポジティヴに動き始めるはずである事などが語り合われたという。
事前に噂が出ていたインフレ目標見直しの件はハダジ氏の発言通り、議題外となった。歳出上限法に代わる代替案は公表されていないが、ハダジ氏は15日、3月中に公表する意向を表明した。
CMNでは、新たな財政均衡案や税制改革案がインフレの沈静化や経済基本金利(Selic)の引き下げにつながるとの認識を共有。G1サイトによると、財務省と中銀との戦いは終わり、「将来に向けた調和」という雰囲気の中での会合となったようだ。
これらの動きは、1月にハダジ氏が提唱した支出削減案が今年初の通貨政策委員会(Copom)の議事録で肯定的に評価された事や、カンポス・ネット中銀総裁が「市場は新政権に好意を持っては」と呼びかけた事なども反映している。
ルーラ大統領はこの日も、「我々はより大きな必要を覚えている人達を治めなければならない」「中銀総裁が望むなら、この国で最も困窮している場所へ連れて行く」と語ったが、CMNの参加者や関係者は、今後は大統領による中銀総裁攻撃も止まると見ている。
なお、今回のCMNでは中銀の決算報告も承認された。それによると、2022年の収支は2985億レアルの赤字となった。中銀が赤字を計上したのは2020年下半期の336億レアル以来だ。赤字発生の主要原因は為替の変動で中銀が持つドル資産(3250億米ドル)が目減りした事や米国での金利引き上げで、赤字中、366億レアルは国庫がカバーする。残りは所得準備金と自己資産の減少が原因だ。
なお、ハダジ財相が13日に労働者党(PT)の役員会で語ったように、ルーラ氏は16日、5月からの最賃は1320レアルとする事と月収2640レアルまでは所得税を非課税とする事を明言した。最賃を1320レアルとする事は年末に承認された「政権移行のための憲法改正補足案(移行PEC)」にも盛り込まれていたが、新政権発足時には同額適用のための準備が整わず、ボルソナロ前大統領が承認した最賃額1302レアルが適用された。
また、月収2640レアルまでは所得税を非課税とする件は、ルーラ氏が語っていた5千レアルまでの免税には程遠いが、ルーラ氏は任期中に非課税額を引き上げていく意向だ。
生活扶助のボルサ・ファミリアの新基準や受給者の資格確認などは来週以降に発表される予定だ。