サンパウロ市地下鉄=2号線駅名改称で物議か=国際教育者から入植者の名に

サンパウロ州地下鉄公社が、将来できるサンパウロ市地下鉄2号線の駅の内、パウロ・フレイレ駅をフェルナン・ジアス駅に改名することを決めた。だが、この決定が物議を醸しそうだと、14日付フォーリャ紙サイト(1)などが報じている。
サンパウロ市の地下鉄2号線では現在、路線延長計画が進行中だが、延長される路線で建設予定の駅の一つがパウロ・フレイレ駅だ。同駅はサンパウロ市北東部に位置し、グアルーリョスに近い場所にできる予定だ。
地下鉄側はこの改名を、「昨年末に行った近隣住民のアンケートによるものだ」と主張している。それによると、1位に選ばれたのはフェルナン・ジアスで57%が賛同。パウロ・フレイレは29%で2位で、パルケ・ノヴォ・ムンドが14%で3位だった。
「パウロ・フレイレはあくまでも仮の名称だった」と地下鉄側は主張する。同駅はパウロ・フレイレ大通りに位置し、フェルナン・ジアス高速道の近くでもある。
問題はパウロ・フレイレとフェルナン・ジアスという名前の持つ印象だ。フレイレ(1921―97年)は国際的な教育学者で、彼の著書「被抑圧者の教育学」は英語で最も検索される100冊の著物のひとつになるほど知名度が高い。
だが、フレイレの教育理論は保守派から強く嫌われる傾向があり、ボルソナロ前大統領や三男エドゥアルド下議がたびたび批判。そのたびに議論が沸き起こり、2021年にはリオ地裁がボルソナロ政権に対し、フレイレの名誉を損なうような態度をとるのを禁じたほどだった。タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(共和者・RP)はボルソナロ前大統領の推薦を受けて当選した前政権のインフラ相でもある。
その一方、フェルナン・ジアス(1608―81年)は17世紀のバンデイランテス(奥地探検者)の一人で、エメラルドハンターとして知られる。当時の奥地探検者の常で多くの先住民を搾取した逸話が残っている。
この報道の後、ネット上では早速、左派、保守派の間で議論が起こっている。