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マリエレ・フランコ=殺害事件から既に5年=政治的女性殺人と州儀が評価

2023年3月15日

マリエレ氏を顕彰するために建立された銅像(Fernando Frazao/Agencia Brasil)
マリエレ氏を顕彰するために建立された銅像(Fernando Frazao/Agencia Brasil)

 リオ市議だったマリエレ・フランコ氏が黒人女性の権利を擁護する集会からの帰りに襲撃され、運転手のアンデルソン・ゴメス氏と共に即死、同乗していた秘書の女性も負傷した事件から丸5年が経過した14日、各地で故市議を追悼・顕彰する動きが見られた。
 同日付G1サイト(1)、UOLサイト(2)、アジェンシア・ブラジル(3)(4)(5)などによると、追悼、顕彰の動きはリオ市だけではない。首都ブラジリアでは、ルーラ大統領が就任からの100日間の評価を行う閣議の前に1分間の黙祷を要請。
 大統領はマリエレ氏の姉のアニエレ・フランコ人種平等相の名前も出し、フラヴィオ・ジノ法相が公言していたマリエレ氏の殺害を命じた犯人解明に努めるとの約束を改めて強調した。マリエレ氏殺害事件の捜査の管轄を連邦警察に移す動きも強まっている。
 マリエレ氏の車を追跡し、射撃した犯人2人(退役軍警のロニエ・レッサ容疑者と元軍警のエルシオデ・ケイロス容疑者)は逮捕済みで、別件で有罪判決も受けているが、殺害を命じた犯人と殺害の動機は未だに判明していない。
 14日付アジェンシア・ブラジルは、故市議の母のマリネテ・シルヴァ氏の「もう5年経った。本当に長い」「皆がマリエレを殺すことを命じたのが誰かを知りたがっている。これはもう、家族だけの問題ではない」との言葉も報道。
 同件の捜査にはリオ州市警の警部5人があたってきた。また、同州検察局では3組の異なったグループが捜査を担当。最近も、組織犯罪担当の特別部隊が率いる特別捜査班のメンバーに9人の捜査官が選ばれたが、遺族や社会運動家達は、度重なる担当者の変更が捜査の進展を妨げていると批判している。
 また、13日にはオズワルド・クルス財団(Fiocruz)主催のセミナーも開催され、リオ州州議のレナタ・ソウザ氏(社会主義自由党・PSOL)がマリエレ氏は政治的な女性殺人の被害者だと評価。政治的な女性殺人は政治的な活動を続けている女性を黙らせるために殺害する行為で、具体的な犠牲者としては、マリエレ氏や環境活動家の宣教師だったドロシー・スタング氏、警官による暴力、犯罪と戦い、殺害されたパトリシア・アシオリイ判事といった名前が挙げられた。
 レナタ氏は、マリエレ氏の政治的女性殺人は、ファヴェーラ(スラム街)や都市周辺部出身や在住の黒人女性や、同性愛者、両性愛者などのLGBTQIA+が歴史的に否定されてきたことも示していると語った。
 今年2月に退任したモニカ・フランシスコ元州議は、黒人女性は性差別や人種差別、極度の人間性剥奪などの悲劇の中で生きるという歴史に翻弄されてきたが、その全てがマリエレ氏の処刑(殺害)によって最高潮に達したと表現。「マリエレが任期中に人々を挑発したことではなく、黒人女性には認められてこなかったスペースを専有し、人種差別社会における脅威となったことがより大きな問題だったのだ」とも語っている。
 今年からマリエレ研究所の理事を務めている弁護士のリジア・バチスタ氏は、マリエレ氏の遺産を保存し、事件を捜査する当局に圧力をかけるという本来の目的追求と共に、黒人女性を社会的に統合し、スラム出身者を権力を持つ地位に含めていくというプロジェクトを主導することを提案している。


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