サンパウロ市=世界のベストシティ18位に=都市再編で国際的評価高まる
カナダに本拠を置く国際コンサルティング会社レゾナンスが発表した「世界のベストシティ2026」で、サンパウロ市が世界第18位の都市に選出された。消費、グルメ、モビリティなど複数の分野で高く評価され、インフラの進展による都市再編の進行も評価されたと26日付G1(1)などが報じた。
同ランキングは、人口100万人以上の100都市を対象に、都市の実際のパフォーマンス指標と国際的認知度を照合したもので、2万1千人以上を対象にしたアンケート結果も反映されている。世界の上位都市は、首位のロンドン以下、ニューヨーク、パリ、東京、マドリード、シンガポール、ローマ、ドバイ、ベルリン、バルセロナと続き、23位には大阪、42位にリオがランクインした。
サンパウロ市はナイトライフの分野で高く評価され、西部地区のヴィラ・マダレナやセントロのバイショ・アウグスタでは平日でも人の流れが絶えない。こうした活気は、Instagramでの投稿数の多さとも関連し、文化回廊の再活性化や観光名所の復興にも注目が集まっている。
グルメ分野でもサンパウロ市は世界トップ5に入っている。パンデミックで中断されていたブラジルのミシュランガイドが24年に再開され、D.O.M.、Maní、Evvaiなどのレストランが国際的に再注目される存在となった。25年には著名シェフによる新規飲食施設の開業が予定され、特に高級住宅地のピニェイロスやジャルジンス地区での展開が期待されている。
高級消費の動きも拡大しており、オスカル・フレイレ街やJKイグアテミ、シダーデ・ジャルジンなどのショッピング施設では国際ブランドの進出が進み、サンパウロ市は世界のショッピング都市トップ3に位置付けられている。
都市体験の質を評価する分野では、交通機関や文化施設へのアクセス、人口密集地域での移動のしやすさの組み合わせが評価され、サンパウロ市は世界8位に上昇。都市整備や文化・経済の活性化により、世界的に影響力のある大都市として再び注目されている。
具体的な事例としてサンパウロ市北部アニェンビ地区の再開発が挙げられる。ホテルやコンベンションセンターが近代化され、同地区の大型展示場の来場者を活用しながら、新たなイベント拠点としての地位を確立しつつある。
サンパウロ市南部ピニェイロス川沿いでは、新しく整備された緑道や自転車道が、ウォーキングやサイクリングなどのアウトドア活動を促し、訪問者数の増加に寄与している。
加えて、中心部に位置するリベルダーデ区も国際的な評価を高めている。10月には、ロンリー・プラネットが発表した「ベスト・イン・トラベル2026」において、ブラジルで唯一、世界のベスト旅行先25選に選ばれた。日本国外最大規模級の東洋街として街路に鳥居や鈴蘭灯などアジア文化が色濃く残るほか、popカルチャー関連を扱う商店や青空市、多国籍レストランが集まり、文化とグルメの交差点として観光客や地元住民に人気を集めている。1779年建造のアフリトス礼拝堂も改装工事中で、黒人文化の歴史遺産も残っている。(2)
サンパウロ市西部バラフンダ地区も世界的に注目を集める。英誌タイムアウトの調査で、世界3番目に「クールな地区」に選ばれ、工業地区の歴史と創造的なカルチャーが融合した独自の雰囲気が評価された。古い倉庫はスタジオに、旧整備工場はカフェやバーに生まれ変わり、音楽やパーティーなどのナイトライフも活発で、地元住民や観光客の双方に親しまれている。
東京の神保町やベルギーのアントワープに次ぐ評価を受け、生活文化や独立系ビジネスを残しつつ、世界的に注目される地区の一つとして位置付けられている。(3)
サンパウロ市は文化、都市、経済の各分野で同時に刷新を進め、世界の有名大都市の多くが北半球に位置する中で、南半球に位置しつつも顕著な影響力を持つ独特な都市になってきた。








