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カブラル上陸地、実はリオ・グランデ・ド・ノルテ州?!=航海データ再検証で定説に異論

2025年11月29日

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ペロ・ヴァス・デ・カミーニャがポルトガル国王マヌエル1世に宛てた書簡(出典:パブリックドメイン)

1500年4月22日、ペドロ・アルヴァレス・カブラル率いるポルトガル艦隊がブラジル初上陸を果たした地点は、歴史的にはバイーア州ポルト・セグーロとされてきた。だが、航海記録の数値データを基に物理学者らが航路を再解析したところ、実際の上陸地はリオ・グランデ・ド・ノルテ州であった可能性が高いと27日付G1(1)が報じた。

万華鏡2−2
バイーア州とリオ・グランデ・ド・ノルテ州の位置

ブラジルの物理学者らが実施した今回の研究は、カブラルに随行した王室書記官、ペロ・ヴァス・デ・カミーニャが記した書簡に残された航海データを数値的に解析したもの。ケンブリッジ大学の学術誌『ジャーナル・オブ・ナビゲーション』に9月付で掲載された。研究を主導したのは、リオ・グランデ・ド・ノルテ連邦大学(UFRN)のカルロス・シェスマン教授と、パライバ連邦大学(UFPB)のクラウジオ・フルタード教授だ。

研究チームは、書簡に記された日付、移動距離、地形の言及、動植物の描写などを精査したうえで、風や海流、沿岸の水深も考慮に入れ、物理計算やコンピューターシミュレーション、動的地図などの現代的手法を用いて航路を再構築した。

例えば、1500年3月22日にカーボベルデ諸島を出航した艦隊が、4月21日にブラジル沿岸で陸地を視認するまでの平均速度を計算したところ、時速約5・6キロメートルという結果となり、当時の船舶性能と整合すると結論づけた。

研究の核心には貿易風、大西洋の海流、そして「コリオリの力(地球の自転によって生じ、水塊や空気塊を偏向させる見かけの力)」の影響がある。シェスマン教授は、この力が船舶の進路に軌道のずれを生じさせ、リオ・グランデ・ド・ノルテ州へ艦隊を導いた可能性が高いと説明。「動く回転木馬に飛び移る際、回転方向へ押しやられるのと同じ原理だ」と述べ、地球表面の水や空気も同様に動き、航路に影響を及ぼすと指摘した。

研究では、カーボベルデからブラジル沿岸までの約4千キロメートルの距離を踏まえ、実際の航跡は〝S字型〟に近い曲線となり、最終的にリオ・グランデ・ド・ノルテ州沿岸へ至った可能性が高いと分析。こうした数値条件に照らすと、艦隊がほぼ直線的にポルト・セグーロへ向かったとする従来の見解は成立しにくいと結論づけた。

研究の重要な論点の一つが、カミーニャが書簡で述べた「巨大で非常に高い丸い山」の特定だ。両教授の幾何学的計算によれば、海岸から30〜40キロメートル離れた位置から視認するには、標高70〜125メートルである必要がある。だが、バイーア州のモンテ・パスコアルは標高540メートルで、80キロ以上の距離から視認可能となり、書簡の描写と一致しない。

一方、リオ・グランデ・ド・ノルテ州ジョアン・カマラのモンテ・セラ・ヴェルデは標高240メートルで、山の形状や南側に連なる低い山々(モンテ・ド・トレオンを含む)も含め、記述と最も整合するという。

上陸地点周辺の地形も検証された。書簡に記された停泊地は「非常に広く細長く安全で、200隻以上の船を収容できる」とされ、その面積は約20万平方メートルに相当する。研究者らが衛星画像で比較したところ、リオ・グランデ・ド・ノルテ州トウロスに位置するプライア・ド・マルコがこの規模に合致、ポルト・セグーロはそのおよそ半分の面積にとどまるという。

書簡にある「細い川」についても、リオ・グランデ・ド・ノルテ州の地形がより整合する。両教授は、最初の上陸地点はプライア・ド・マルコから南へ60キロのプライア・デ・ズンビ付近であり、プナウー川の河口にある小規模の小川が記述に一致するとみる。これに対し、バイーア州ポルト・セグーロ南部を流れるブラニェン川は幅300〜500メートルと広すぎ、書簡の内容と合わない。

カミーニャが記した「南に20〜25リーグ(120〜150キロメートル)離れた地点にある大きな赤い崖」も、リオ・グランデ・ド・ノルテ州側でより特定しやすい。プライア・ド・マルコからその距離に位置するのは、赤い断崖で知られるバレイラ・ド・インフェルノであり、ポルト・セグーロ南部に同様の地形は確認されていない。

今回の仮説自体は新しいものではなく、複数の専門家の議論とも関連している。

シェスマン教授は、今研究が自然科学の視点から歴史文書を再評価する意義を示すと指摘。同教授は、「1500年当時、ポルトガル語にはまだ文法すら整備されていなかった。現在では句読点一つで意味が大きく変わる可能性がある。だがその一方で数値は変わらない」と語る。

研究チームは今後、歴史学者との議論を重ね、仮説の検証と理解の深化を進めるとしている。


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