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サンパウロ市=世界ストレス都市比較で8位=生活費・渋滞・治安が影響

2025年12月20日

万華鏡1
中南米最大の屋外商業街「3月25日街」では日常的に多くの人々が行き交い混雑する(Foto: Paulo Pinto / Fotos Públicas)

米金融サービス企業レミットリー(Remitly)が世界の大都市における「生活のストレス負荷」に関する調査結果を発表し、サンパウロ市が世界8位にランクインした。交通渋滞や犯罪率の高さ、生活費の高さなどがストレスの主要因と14日付G1など(1)(2)が報じた。

調査は今年10月に実施、170の世界主要都市のデータが収集された。都市選定は、デジタル地図大手トムトム(TomTom)の交通データベースや、米コーネル大学、マクロトレンド、機会均等調査基金、米国立医学図書館、CEOワールドなど、複数の国際データソースに基づいて行われた。

最終的なランキングは「10km移動に要する平均所要時間」「生活費(住居費を除く必需品の価格)」「医療状況(アクセスの良さと質)」「犯罪指数」「年間平均大気汚染指数」の五要素を基に算出。各要素にはスコアが付与され、都市ごとのストレス指数として0から10の範囲で数値化された。数値が10に近いほどストレス負荷は高い。中南米の都市では治安の悪さが主要なストレス要因となる一方、欧州や北米の都市では生活費の高さが最大の負担となった。

世界で最もストレスの高い都市は米ニューヨークで、ストレス指数は7・56。同市では渋滞の長さや高い犯罪率、大気汚染の酷さが重なり、ランキングの首位に。コーネル大学の調査では、住民は生活費の高騰に最も大きな不安を抱えているとされる。医療システムの質が良好な上、大気汚染も対策が進められているが、経済的圧力は依然として大きな問題となっている。

2位のアイルランド首都ダブリンはストレス指数7・55で、住民が10km移動するのに平均32分を要し、住宅費が収入を上回る状況。大気汚染指数は6・6マイクログラム/立法メートル(µg/m³)。3位はメキシコシティ(7・38)で、10kmの移動時間は約32分、治安の悪さと渋滞がストレスの大きな要因だ。上位10都市は以下、マニラ(7・34)、ロンドン(7・25)、ミラノ(同)、アテネ(7・23)、サンパウロ市(7・14)、トリノ(6・90)、コルカタ(6・89)が続いた。

サンパウロ市は10km移動に要する平均時間が約27分、年間平均大気汚染指数は16・0だった。住民は長時間の移動や治安の不安、生活費の負担に日常的に直面していることが指摘された。

一方で、最もストレスの少ない都市はオランダのアイントホーフェンが挙げられ、ストレス指数は2・34。住民は10kmの移動に15分未満しかかからず、公共サービスが充実しており、医療システムの質も高い。オランダは24年の世界医療革新指数で4位にランクインしている。

次いで同国のユトレヒトが2位(2・67)、オーストラリアのキャンベラが3位(2・80)に位置した。ユトレヒトは低い犯罪率と優れた健康指標を誇り、大気汚染のレベルもコルカタやマニラなど大都市に比べて低い。一方、キャンベラは移動距離が短く空気も清浄で、生活費はオランダの都市より低いが、犯罪率がやや高く、医療体制も若干脆弱なため、1位には届かなかった。

調査では、ストレスに影響を与える各要素で特に高評価または低評価となった都市も明らかになった。移動時間が最も長い都市はコルカタで、10kmの移動に34分33秒を要した。一方、米国のサンアントニオは10分13秒で最も短かった。生活費が最も高い都市はスイスのバーゼルで、最も低い都市はインドのジャイプール。

医療の質は台湾の台北が最も高く、エジプトのカイロが最も低いと評価された。犯罪率は南アフリカのプレトリアが最も高く、アラブ首長国連邦のアブダビが最も低かった。大気汚染はジャイプールが年間平均53・7で最も高く、オーストラリアのゴールドコーストが2・8で最も低い数値を記録した。


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