エプスタイン、当地で納税者番号=著名実業家名や少女への執着
米司法省が1月30日に公開した大量の捜査資料により、2019年に勾留中に死亡した米資産家ジェフリー・エプスタイン氏とブラジルとの多角的な接点が浮き彫りとなった。資料からは、同氏が2003年にブラジルの納税者番号(CPF)を取得し、同国への投資や国籍取得の可能性を検討していた形跡が確認された。同時に、人的ネットワークを通じた若年層の女性、とりわけブラジル人女性への不透明な関与を示唆する証言も含まれており、波紋を広げている。
12日付BBCブラジル等(1)(2)の報道によれば、公開資料には同氏名義のCPFが2003年4月23日に発行され、現在も「有効」な状態で登録されている実態が記されている。生年月日は本人と一致しており、押収資料には代理人を通じた申請を示唆する文言も確認された。
同国国税庁は、CPFの個別情報は本人または法定代理人にのみ開示するとの原則を示しているが、同氏が同国での経済活動の足場を固めようとしていた蓋然性は高い。また、独実業家との電子メールではブラジル国籍取得の利点についても言及していたが、ブラジル法務省によれば帰化が実行された記録は存在しない。
経済活動の側面では、2014年のサッカーW杯開催に伴う通貨上昇を見込み、レアル建て債権への100万ドル規模の投資を画策していた。投資助言者とのやり取りでは、当時のブラジル経済の成長性を背景に「レアルの買い持ち」を検討していた形跡がある。
また、同国の著名実業家であるエイキ・バチスタ氏やジョルジ・パウロ・レマン氏、アルミニオ・フラガ元中央銀行総裁らの名前が接触候補リストに挙げられていた。ただし、リストへの記載自体は違法性を意味せず、名前の挙がった当事者らは面会や取引の事実を一様に否定している。
著名人への影響も顕在化している。女性司会者のルシアナ・ジメネス氏は、自身の名前が資金移動記録に含まれていたことに関し、投資口座間の内部送金に過ぎず、エプスタイン氏との面識や金銭的関係は一切ないと声明を発表した。当局への協力姿勢を示しつつ、疑惑を強く否定している。銀行側も、米政府の広範な記録要請により無関係の顧客名が含まれた可能性に言及した。(3)
一方、人的側面については、当時の状況を知るとする具体的な証言も報じられている。
2025年12月24日付BBC(4)によると、ブラジル出身のマリナ・ラセルダ氏は、14〜17歳の頃に性被害を受けたと公言し、エプスタイン氏のニューヨークの邸宅には少なくとも50人のブラジル人女性が出入りしていたと述べた。やがて他の若い女性を紹介するよう求められたとし、黒人の少女を連れていった際にエプスタイン氏が激怒し、人種差別的発言があったとも語っている。年齢が想定より高い女性を連れて来られたことに不満を示したとの証言もある。(5)(6)
2025年12月23日付BBC(7)によると、2019年5月2日に実施された米連邦捜査局(FBI)の聴取に基づく手書きメモには「大規模なブラジル人グループ」との記載があり、多くが黒塗りとなっている。
「友人の友人」を通じて女性が集められたことや、「ブラジルから来たばかりのモデル」への言及、少女らに身分証提示を求め18歳未満であることを確認しようとした記述も含まれている。「ブラジルのパーティー」「ブラジルのファッションショー」と記された写真の存在も示されているが、詳細は判読できない。
エプスタイン氏と関係があったとされるフランス人元モデルエージェント、ジャン=リュック・ブリュネル氏が2019年にブラジルを訪れ、モデル事務所を訪問したことも報じられている。同氏は女性勧誘に関与した疑いで捜査対象となり、2022年にフランスの拘置施設で死亡。ブラジリアのモデル事務所「メガ・モデル」の代表は、訪問は施設見学にとどまり、所属モデルが同行した事実はないと説明した。
一連の資料は、エプスタイン氏がその巨額の資産とネットワークを背景に、ブラジルの行政、経済、そして社会の隙間に深く侵入しようとしていた実像を浮き彫りにしている。








