ルーラ「暗殺計画はでっちあげ」=相次ぐモロ批判で波紋=背後に捜査の判事の存在

ルーラ大統領(労働者党・PT)は23日、ラヴァ・ジャット作戦の一審判事としてルーラ氏にも実刑を課したセルジオ・モロ上議(ウニオン)に州都第一コマンド(PCC)による暗殺計画が浮上したことに関して、「また、でっち上げを行った」と発言し、波紋を投げかけた。23日付フォーリャ紙サイト(1)(2)(3)などが報じている。
この発言はルーラ大統領がリオ州イタグアイーにある海軍の海洋総合施設を訪れた際に飛び出したものだ。取材陣から、連警が22日に行ったPCCによるモロ氏の暗殺計画について訊かれた大統領は、「話したくない。モロ氏によるでっち上げだと思うから」と発言。「注意深く、ことの進展を見守りたいが、でっちあげなのは明らかだ」と続けた。
この発言は諸方面から違和感をもってとらえられた。それは、捜査の結果、PCCは1月からモロ氏に対するスパイ行為を行っていたことが判明したことや、モロ氏に関する会話のやり取りなどがグローボ局のニュースなどで具体的に報じられていたからだ。
また、フラヴィオ・ジノ法相(ブラジル社会党・PSB)も暗殺計画を「45日前に知っていた」ため、モロ氏にも伝えていたことを22日に明かしていた。同日はグレイシ・ホフマンPT党首が「モロ氏に教訓を与えた」と発言したように、PTや連邦政府としても、「ルーラ政権が政敵のモロ氏を助けた」とするルーラ氏にとって有利なイメージを抱いていただけに、この発言は驚かれた。
ラヴァ・ジャットの検察主任だったデルタン・ダラグノル下議(ポデモス)は、「大統領は自分の閣僚の言動さえ非道徳的に解釈した」と強く批判。野党側の政治家も続々と「人の命が狙われているときに何ということを」と批判の声をあげており、罷免を求める議員まで現れた。
ルーラ氏は2017年9月に、ラヴァ・ジャット作戦での収賄容疑で担当判事だったモロ氏から実刑判決を宣告され、2審での有罪判決後、2018年4月から約1年半、服役している。大統領は21日も、大統領府で行ったサイト「ブラジル247」のインタビューで当時のことを涙ながらに振り返り、「刑務所の中でモロ氏に復讐してやりたいと思っていた」という趣旨の発言を行い、物議を醸していた。
PCCに対する捜査が行われたのはその翌日の22日だが、この捜査を了承したのがパラナ州連邦地裁のガブリエラ・ハルト判事であったことが判明し、ルーラ氏を怒らせたようだ。ハルト判事はモロ氏の後任としてラヴァ・ジャットの担当判事となり、2019年2月に開かれたアチバイアの農園関連の裁判で、収賄と資金洗浄の罪でルーラ氏に実刑判決を下している。PCCの捜査の担当は別の判事だが、その判事が休暇中だったため、ハルト氏が代理として捜査を了承していた。
ハルト判事は今回のルーラ氏の発言直後に守秘義務を解除しており、捜査の詳細が明らかになっている。