ブラジル文学アカデミー=カヴァリエリ氏が名誉会員に=モニカ作者落選に注目集まる

27日、ブラジル文学界の最高権威「ブラジル文学アカデミー(ABL)」の終身名誉会員を決める投票が行われ、文献学者のリカルド・カヴァリエレ氏が選ばれたが、ブラジル・メディアの注目は国民的漫画「トゥルマ・ダ・モニカ」の作者マウリシオ・デ・ソウザの落選に注がれた。27日付CNNブラジル(1)などが報じている。
ABLの投票は先週20日に引き続き、2週連続で行われた。今回は今年1月に逝去した文学者のクレオニセ・ベラルジネッリ氏に代わる会員を選ぶための投票だった。
投票の結果、38人の会員中、35票を獲得したカヴァリエレ氏が圧勝した。マウリシオ氏は2票に終わり、1票は白票だった。
カヴァリエレ氏はリオ連邦大学でポルトガル語の修士号と博士号を取得。主にポルトガル語の文法の変遷に関する研究で知られている。
だが、今回の投票に関する報道は、「マウリシオ氏落選」の見出しの方が多く、同氏の写真付で報道された記事が目立っていた。それは、2月にマウリシオ氏が候補として選出された際、同じく候補となったジャーナリストのジャメス・アケル氏が「漫画が文学などと言えるのか」と発言し、論争が起こっていたためだ。
この論争はジャーナリストたちの間でも取り上げられ、漫画を文学として擁護する記事なども上がった。また、今回の同氏の落選後もネット上で、「歌手が本職のジルベルト・ジルや女優のフェルナンダ・モンテネグロが選ばれているのに、少なくとも出版に携わり、国際的にも認知されているマウリシオ氏は会員にふさわしくないというのはどういう基準なのか」との声が上がっていた。
マウリシオ氏は落選後、動画で読者に挨拶し、「漫画が文学か否かといったことが議論の対象とされただけでも我々の勝利だ」「私が選ばれるようキャンペーンをしてくれた皆さんに感謝したい」「今後も子供への言語教育に励む」とのメッセージを送っている。