site.title

竜巻で町の9割が破壊=風速330km/hで6人死亡

2025年11月11日

万華鏡1−1
リオ・ボニート・ド・イグアス市を襲った超巨大竜巻(Foto: RS/Fotos Públicas)

「父は母と共に家にいたが、突然の竜巻で木造住宅ごと約30メートル飛ばされ、父は倒壊した木材の下敷きになった」と グアラプアバで犠牲になったジョゼ・ジエテスキさんの息子は生々しい証言を語った。

パラナ州中西部で7日(金)に発生した3件の竜巻で、複数の都市で甚大な被害が発生した。州環境技術・監視システム(Simepar)によると、リオ・ボニート・ド・イグアス市では最大風速330km/hに達し、住居や商業施設の9割が破壊された。グアラプアバ、トゥルヴォでも多数の建物被害が報告され、州内で過去に例を見ない規模の災害となったと10日付G1など(1)(2)が報じた。州防災局によると、竜巻の影響を受けたのはおよそ1万人に上り、6人が死亡、750人が負傷。28人が家を失い、1千人以上が一時的に避難を余儀なくされている。

Simeparは10日朝、現地調査の結果として、3件の竜巻が州中西部の人口1万3千人の小都市を襲ったことを確認。リオ・ボニート・ド・イグアスを襲った竜巻は、「スーパーセル」と呼ばれる最も激しいタイプの嵐の中で発生し、当初の最大風速250km/hから330km/hに修正された。近隣のグアラプアバ市のエントレ・リオス地区でも風速約250km/hの「F2クラス」の竜巻、トゥルヴォ市南部でも風速約200km/hの竜巻が確認された。

調査にあたったSimeparの技術チームは、レーダー解析に加え、動画、上空からの観測、地上視察を組み合わせてデータ収集。「今回確認された3件以外にも、竜巻の可能性がある疑わしい事例の研究分析も継続している」と説明している。

気象条件としては、熱と湿気の大量供給に加え、高度による風の強化と方向の変化が、州内での激しい嵐や竜巻発生に適した環境を作り出していたことも指摘されている。

倒壊した住宅や散乱する残骸の中で救助活動にあたった消防隊副指揮官ジョナス・エマヌエル・ベンギ・ピント大佐は「戦場さながらの状況」と報告した。救助活動はすでに終わり、現在は家庭への支援登録や物資配布、破損構造物の撤去、清掃作業が進行中。

万華鏡1−2
竜巻によって破壊されたリオ・ボニート・ド・イグアス市(Foto: RS/Fotos Públicas)

リオ・ボニート・ド・イグアスのセーザル・アウグスト・ボヴィーノ市長によれば、同市の再建には大規模な工事が必要であり、州政府は州災害基金(Fecap)から総額5千万レを支出する方針を示す。支援金は被災家庭に直接支給される可能性もあり、1世帯あたり最大5万レを想定。破壊された学校の再建も承認され、9日に実施予定だった国家高等教育試験(ENEM)は、同市での実施が12月に延期された。

連邦政府も迅速な支援措置を打ち出す。8日、国家防災保護局(Sedec)を通じて、被災自治体に対し「非常事態」を発令。これにより、連邦資金の供与権限が整備され、被災自治体が必要とする支援計画を提出することで手続きが簡略化され、速やかに資金を受け取れる体制が整えられた。(3)

また、保健省は、医療・衛生・心理支援などを担当する専門家チームを派遣。現地医療体制の再建や心理支援、水・衛生状態の評価など、包括的な支援が実行される。(4)

地域開発省は、被災した学校および市営体育館の再建に向け、リオ・ボニート・ド・イグアス市に対し1500万レを即時に資金解放した。両公共施設は竜巻により完全に破壊されており、連邦政府による資金供与で再建作業が加速される見込みだ。(5)

被災者支援の財政面では、国立社会保障院(INSS)が、被災者が受ける福祉給付の前倒し受領を申請できると発表。また、連邦政府は被災者が勤続期間保障基金(FGTS)を早期に引き出せるよう、制度面の調整を検討中だとしている。(6)

被災地支援は州・市・連邦の三層で連携して進められ、生活再建や復旧作業に向けた体制が整えられている。


アマゾンの歴史を変えた〝知の密輸〟=COP30開催都市が学ぶべき教訓とは前の記事 アマゾンの歴史を変えた〝知の密輸〟=COP30開催都市が学ぶべき教訓とは
Loading...