コロナ禍で生じた教育の遅れ=回復の可能性を示す研究報告

新型コロナのパンデミックは識字教育などの遅れを招いたが、パンデミックによる学習の遅れは回復できることを示す報告が出たと3日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。 リオ連邦大学教育機会に関する調査研究所による「Covid―19のパンデミック後の学習と教育の不平等の再構成に関する研究」と題する研究は、セアラ州ソブラルの公立保育園2年生(年中組)1364人のデータから、パンデミック前、パンデミック中、パンデミック後の学習速度を比較している。
年中組の生徒達はパンデミック初年の2020年に約9カ月間、遠隔授業を受けた。同年の生徒達のポルトガル語の習熟度は対面授業を受けた前年度の生徒達の39%、算数では48%で、6~7カ月の遅れが見られた。
他方、対面授業が再開された2022年の生徒達の習熟度は111%と115%で、19年より1~2カ月程度進んでいた。
20年と22年の生徒は少なくとも一部の授業を遠隔で受けており、20年の経験を生かし、コロナ禍の影響緩和のための工夫を行うことで教育の質が向上し、好結果を生んだことや、中短期的に見たコロナ禍の影響は回復以上の効果を得たことがわかるという。
同研究所のマリアネ・コスリンスキ氏は、コロナ禍による先行き不透明感や活動中断、遠隔授業効率化のための工夫などが、回復以上の結果を生んだと言う。コロナ禍の間は全国規模のコーディネートはなされておらず、学習速度の遅れなどの課題解決策の効果は自治体毎に差があると指摘。今回の研究は全国の実態は反映していないとも語った。
幼児教育の専門家は「コロナ禍の影響は不平等で、世帯収入やインターネットサービス、支援ネットワークへのアクセスなどが子供の発達や学習に影響を与えている」とし、国による対策の重要性に言及。研究員達も、各市が戦略を構築、導入するための技術的・金銭的な支援は州が行うべきで、市は基礎教育課程に焦点をあてた対策を立て、生徒へのコロナ禍の影響を評価すること、中退率などへの注意を喚起した。校長や教師達はパンデミックの期間中に成功したコミュニケーション戦略で、家庭と学校を結び付けることができるとも語っている。