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男性目線を変えてみれば=除雪の順序変更で事故減少

2023年5月4日

4月30日の番組の内容を示すNHKサイトの画面(ブラジルでは視聴不可)
4月30日の番組の内容を示すNHKサイトの画面(ブラジルでは視聴不可)

 4月30日にNHKが放送した「男性目線変えてみた 第2回 無意識の壁を打ち破れ」という番組を見て、目から鱗の経験をした。
 取り上げられていたのは、スウェーデンで行われた道路除雪の優先作業区画の変更だった。これまで除雪計画の立案と実行は男性が行っており、自動車通勤の人達への配慮が重視され、車道の除雪が最優先となっていた。
 その一方で、雪の日は外出するのが怖いという高齢者や子供を学校に連れていけないという母親からの訴えも自治体に寄せられていた。
 自治体が訴えに気づき、保育園や学校の周り、歩道を優先して除雪するようにしたところ、子供を保育園などに連れて行くのが楽になり、外出を避けていた高齢者も街に出るようになるなど、日常生活がスムーズになった上、転倒事故が減り、医療費も減少。除雪の順序変更の効果に驚いた担当者達は、これまでの判断が男性目線であったことに気づいたという。
 番組では、男性に合わせて作られ、固定化されていた基準や仕組みについても取り上げた。男性基準は自動車の安全性能テストやオフィスの標準室温などにまで至っている。それを見直し、変革につなげる動きが世界中で拡大しているとし、意思決定の多くを男性が占めてきた日本の「オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)」という見えない壁についても触れていた。
 現在は日本でも育休をとる男性が出てきたが、育休をとると昇進などに響くことを恐れる男性はまだ多い。男女比率と釣り合わない女性議員数など、男性目線でできた基準や仕組みが女性の社会進出や真の平等を妨げている例も多数ある。
 この番組の第1回では近年注目され始めた医療現場での性差について取り上げた。男性の狭心症は太い血管が原因となることが多いが、女性は細い血管が原因となることが多い。同じ病気でも性差に配慮した診断法や検査法が普及していないために診断がつかず、いつ発作が起きるかと恐れて長年生活していた人の事例が紹介された。
 医療分野でも男性目線での研究が基準になっているということだ。試験に使うモルモットなどもオスが多いことなども知り、驚いたのはコラム子だけではないだろう。
 互いの持つ特性や能力、差を認め、各自の持つものを活かし、互いの欠けた部分を補い合える社会の実現は多くの女性の望みだ。そのためには男性が男性目線やOBNの存在を認めることが不可欠だ。皆が生きやすい社会の実現を望みたい。(み)


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