国家肥料計画を大幅見直し=50年までに国外依存激減

ルーラ大統領が国家肥料計画(PNF)見直しのための全国肥料植物栄養評議会(Confert)再編を決めた大統領令を出し、5日付官報に掲載したと同日付連邦政府サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)が報じた。
ブラジルは世界の肥料の8%を消費する一方、国内消費量の約85%を国外に依存しているため、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、肥料確保への懸念が拡大した。
これを受けてボルソナロ政権がPNF2022―2050を作成し、ブラジル農牧調査研究公社(Embrapa)も、一連の危機で肥料不足が起きる可能性が高まり、以前から検討していた対策の実施が加速されたこと、危機に直面するための長期的な計画を備えることによる農業生産のリスク軽減が必要であることなどをまとめた文書(8)を出した。
だが、PNF立案時に作られた原材料となる鉱物資源の地図に先住民居住区も含まれていたことや、計画の対象期間が長いことなどもあり、現政権がPNFの見直しを決め、大統領令を出した。大統領令では、最初の見直しは12月31日までに行い、最大4年で計画を見直すことやConfertの再編などを定めている。
新Confertの議長はジェラルド・アルキミン副大統領兼商工サービス開発相で、商工サービス開発省、農牧省、科学技術イノベーション省、農業開発・家族農省、環境・気候変動省、財務省、鉱山動力省、Embrapa、ブラジル農業畜産連盟、全国工業連合(CNI)、ペトロブラスが参加する。
アルキミン氏は、国外からの肥料調達に250億ドルかかっている現状を変え、環境や社会に配慮しつつ、調査や研究、技術開発を行うことで、2050年までに国外への依存度を50~55%に減らす意向だと語った。
ブラジルは近年、農業生産高を増し、世界規模で見たコモディティ供給でも大きな役割を果たしているが、過去20年間の肥料消費量は年2千万トンから4100万トンに増えた一方で、国内生産量は740万トンから640万トンに減っている。
2050年の肥料消費量は現在の倍に達する見込みで、環境や社会に配慮した形での肥料確保は食糧の安定供給や生産コスト削減のためにも不可欠だ。