財政均衡法の原文が下院承認=372票獲得の大差で=ルーラ政権に自信の結果

23日、下院で財政均衡法(アルカボウソ)の基本原案に関する採決が行われ、372票対108票の大差で承認された。ルーラ政権にとって前進と捉えられている。23日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
この日の投票では下院の過半数である257票を獲得できれば良かったが、それを大きく上回る賛成票が投じられた。今回の賛成票は、先週行われた、「アルカボウソを緊急議題とするか」に関する審議での賛成票の367票をも上回った。
これはルーラ政権にとっては一安心の結果だった。同政権は連邦議会内の支持母体が未だに固まっていないため、ルーラ大統領が出した基礎衛生事業の枠組改定の大統領令に対して、惨敗を喫した直後だったからだ。連邦政府のアルチクラソン(政局調整)の脆弱さはその後も問題となっているが、今も解決されていない。
そのことを意識してか、投票直後のアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は「この結果が下院の与党勢力を反映しているものではない」との見方を示した。だが、他方では、「しかし、これは進歩だ。私たちはちょうど今、与党勢力を固めるために努力しているところだ」と語り、評価している。
ここ2回の投票ではPP、民主運動(MDB)、社会民主党(PSD)といった中道勢力の大型政党が協力に回っていることが大きい。さらに、野党最大勢力でボルソナロ前大統領の自由党(PL)も、この件に関しては下議の自由意思に任せる方針をとっている。
アルカボウソはボルソナロ政権まで適用されていた歳出上限法の代替法案だ。労働者党(PT)側は、「歳出上限があることで、保健や教育への支出まで抑えられる」ことなどを理由に同法に反対していた。また、ボルソナロ政権の最後の数年間は歳出上限法の盲点をかいくぐる例外的な支出が目立っていたため、より現実的な財政均衡法案が待たれていたという後押し材料もあった。
報告官を務めるクラウジオ・カジャド下議(PP)がフェルナンド・ハダジ財相らとの協議後に提出した法案では、「翌年の支出増は、毎年6月までの12カ月間の歳入の変動幅からインフレ率を指し引いた分の70%を上限とすること、支出の増加枠は国の経済状況に関係なく、前年予算の0・6~2・5%の範囲に収めること」「2023年の基礎的収支の赤字額を国内総生産(GDP)の0・5%まで下げ、2026年にはGDPの1%の黒字にする」「その年の財政目標が達成されない時は歳入増分に対する翌年の経費増は50%までとするという罰則を適用する」ことなどが盛り込まれている。
これらの項目は中道勢力には好意的に受け入られたが、左派の一部からは「締め付けがきつい」と難色を示されている。社会自由党(PSOL)やレデといった連立政党は賛成せず、PT内部でも一部反対の声がある。
アルカボウソは修正動議の審議を24日に終える見込みで、修正を反映させた最終案を下院で再承認した後、上院に回されることになる。