連邦道路警察=ジェニヴァルド氏の件で謝罪=ガスを充満させた車で窒息死

連邦道路警察のフェルナンド・オリヴェイラ長官が25日、1年前に連邦道路警察官3人によってガスを充満させた警察車両に押し込められて窒息死したジェニヴァルド・デ・ジェズス・サントス氏の遺族に謝罪したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)が報じた。
セルジッペ州で精神疾患の投薬治療も受けていたジェニヴァルド氏は2022年5月、ヘルメットを被らずにバイクを運転していて道路警察官3人から職務質問を受けた。だがうまく答えられず、警察署に連行されることになった。彼が驚いて身を引いたのを抵抗したとみなされ、警察車両に押し込まれた上、大量のガスを送り込まれて窒息死した事件だ。
事件直後には、ジェニヴァルド氏が警察車両に押し込まれ、車両の外に出ていた足をばたつかせる様子や、警察官が逃げないように後部のドアを抑えている様子を映し、警察車両の中に充満したガスが外に漏れ出して白煙が上がっているようにさえ見える動画がネット上に流れ、物議を醸した。
連邦道路警察官3人は事件後に逮捕され、虐待と殺人で起訴されており、今年1月に陪審裁判にかけられることが決まった。4月には人身保護令の適用要請も出されたが、裁判官は、内部規定に反して必要以上の力を行使したことや、精神疾患があり抵抗はしなかった男性を窒息死させたことを重く見て適用(釈放)を拒否した。
オリヴェイラ長官は25日、ジェニヴァルド氏の件はトラウマを引き起こすような事件であったことを認め、連邦道路警察にとってもショックを与えるような劇的な事実で、遺族にはより大きな事件だったはずと明言。「驚きと遺族への連帯を表明し、正式に遺族に謝罪した」「二度と繰り返されて欲しくない出来事」と述べた。
遺族への謝罪は、連邦道路警察でも制服にボディカメラを装着するプロジェクトを採用することについてのプレゼンテーションの最中に行われた。
連邦道路警察では2024年4月から、現在活動中の警察官の約半数にあたる6千人にボディカメラを装着する予定だ。同プロジェクトは法務省の管轄下で進められており、昨年の11月からは実用試験も行われている。

実用実験では、ボディカメラの装着により、警察官による殺害事件は50%以上減少した上、警察官の態度や行動に対する不満や批判も半減したという。
法務省司法アクセス局のマリヴァルド・ペレイラ局長も、警察官達がボディカメラを装着していれば、ジェニヴァルド氏の事件は避け得たはずとし、「遺族の心痛は言葉では到底言い表せないものだろう」「連邦道路警察やその他の警察組織のいずれでも、このような事件が繰り返されないように願っている」との言葉で追悼の意と同種の事件回避への決意を表した。