税制改革PEC審議=前大統領の求心力低下表面化=聖州知事や下院議長の株上昇

【既報関連】6日夜から7日未明に下院が税制改革の憲法改正補則案(PEC)を2度承認したが、一連の動きを通じ、前大統領の求心力が低下し、政治的な敗北を喫したとの声が出ている。
一例は6日朝の自由党(PL)議員の会合でPEC承認を求めるタルシジオ聖州知事の発言を妨げたボルソナロ氏が、「PLが賛同しなければ法案が通るはずがない」と語ったりした件だ。この時の様子は6日付G1サイトなど(1)(2)が報じたが、5日付G1サイト(3)によれば、タルシジオ氏は前日、PLが反対し続けるなら前大統領と話し合うと語っていた。
だが、6日付UOLなど(4)によると、前大統領は6日、労働者党(PT)は国民や家族のことには無関心で、私有財産を尊重せず、盗賊を擁護し、善良な市民の武装を解除しているとの批判を繰り返し、PTの提案には全て反対するとの声明を出した。5日付G1サイト(5)によれば、PLは5日に「知事達の要請が応えられれば賛成」と語っていたが、6日にはPEC反対の姿勢を表明したため、同知事が会合に出向いた。
タルシジオ氏はこの会合で税制改革はボルソナロ政権も手掛けたもので、国にとって必要不可欠と説いた。
だが、6日付ブラジル127サイト(6)にあるように、ボルソナロ派とされてきた知事5人がPEC賛同を表明したことを知る前大統領は、タルシジオ氏を批判した。同知事は退場にエスコートを要したが、一連の行為は同知事の評価を高めた。一説では同氏が5日にハダジ財相と共に会見し、PECに賛同と語ったことが前大統領をより頑なにさせたとされている。
6日付UOLサイト(7)によると、リラ下院議長も前大統領やPLがPEC反対を唱え続けることを懸念し、6日朝、前大統領の意見の重さを認めつつ、各議員に自分の考えを表明する機会を与えるよう、PLに要請した。
6日付ポデール360サイト(8)によると、強硬なボルソナロ派議員らは投票時も反対を唱え続けたが、リラ議長は、「選挙は終わり、勝者が政権についている。私の候補は負けたが、選挙箱は脇に置き、国民に目を向ける時だ」「税制改革は政治の玩具や政治交渉の手段ではない」として「政治的急進主義」を間接的に批判。特別委員会が6カ月かけて協議した税制改革を、党派間の衝突の結果ではなく、国のための措置として見ることも求めた。その結果、PECはPL議員20人も含め、必要票数を大幅に上回る賛成票を得て2度承認された。
リラ氏は承認確実と判断した案件しか投票にかけないため、7日付G1サイト(9)には「税制改革はリラ議長とハダジ財相の勝利でボルソナロ氏の敗北」との記事も出た。7日付オ・グローボサイト(10)によると、同議長は7日、前大統領に「タルシジオ氏は関係を保つべき友人」と語っている。