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税制改革PEC=地方自治体が新税徴収?=農業界や鉱業界に懸念の声

2023年7月18日

上院での法案審議までにやるべきことが沢山あると語るテレーザ・クリスチーナ上議(元農相、José Cruz/Agência Brasil)
上院での法案審議までにやるべきことが沢山あると語るテレーザ・クリスチーナ上議(元農相、José Cruz/Agência Brasil)

 【既報関連】下院が承認した後、上院での審議のための報告官も決まった税制改革のための憲法改正補則案(PEC)は、地方自治体による新税徴収の余地を残していることなどで、農業界が安どと懸念の声をあげていると10日付マネー・タイムス(1)が報じた。
 同法案のインパクトの内容や程度は各分野で異なるが、農村部の個人生産者と法人の間に大差はないという。
 農業界が肯定的に受け止めているのは、従来は地域や生産規模に応じて活動から得る収入全体の20%だった課税率を農村生産者には0%とする項目だ。
 また、農林水産業で生産品や自然採取の野菜類、農業投入物、人が消費することを目的とした食品の税率を60%削減するという項目も歓迎されている。
 一方、内容明確化のための補完令によって導入される予定の選択税は懸念の種だ。9日付アジェンシア・ブラジルなど(2)によると、選択税は健康や環境に有害な製品の消費を阻止するために同種の製品の生産や販売、輸入に関して科す税で、「罪税」と呼ばれる。
 選択税で高価になる可能性のある製品は煙草や農薬、アルコール飲料などだ。生産者が使用する農薬の多くは健康や環境に有害な製品のリストに含まれており、税負担が重くなれば、その影響はアグリビジネス全体に及び、コスト高や最終価格上昇という結果も招き得る。
 また、税金が統一、均一化されることも懸念材料だ。現在の税制は生産チェーン全体で異なるため、場所や製品、生産形態に応じた税金処理がなされているが、税の統一化と意思決定が国に集中することで、インセンティブの終了と税負担の増加が予想されている。
 下院が承認直前にPECに含めた項目も懸念材料だ。16日付G1サイト(3)によると、上院での承認次第で国内の農業生産高上位10州中、マット・グロッソ州とゴイアス州、サンタカタリーナ州の最低3州は20年間の税金を課される可能性があるという。
 これは、各州が鉄鉱石や石油、食品などの一時製品や半製品に対して20年間徴収可能な税の創設を認められ得るからだ。同項目は住宅・インフラ投資基金が今年の4月30日に発効している場合に可能となり、同基金への資金の割り当ては各連邦自治体内の企業が商品流通サービス税(ICMS)における税制優遇の恩恵を受ける条件とされている。
 17日付グローボルラル・サイトなど(4)(5)(6)によると、農牧族議員や鉱業界はこれらの項目の見直しや法案修正に向けた準備やロビー活動を進めている。


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