site.title

小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=32

2023年7月22日

 本耕地の支配人をはじめ、岡野と田倉の説得によって日本移民はもとより、抗議を続けていたブラジル人たちも平常に戻って仕事をはじめたが、八代家だけは監督を罷免するまでは仕事に就かないと居座っていた。同胞でありながら、ストを共にしないと、田倉その他数家族の日本移民を裏切り者呼ばわりにした。食糧が不足したと言っては、牧場の中の流れを塞き止め、家族総出で魚を捕ったりした。何事も監督の許可を必要とする耕地の掟からすると許せないことだ。耕地に適応しない不良家族ということになる。
「八代さんたち、どうなるんかしら」
 移住して以来、親しく付き合ってきただけに、八代家の動向は、律...

会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...