「自分はどこまで到達できるか」=24時間走188キロで世界記録
新型コロナウイルス禍による自宅隔離期間に芽生えた問題意識が、極限への挑戦として結実した。ブラジル人マルチアスリートのペペ・フィアモンシーニ氏(35)は5日、リオデジャネイロ市内のスポーツジムでランニングマシン上を24時間連続で走行し、計188キロを走破する世界記録を達成した。長距離トライアスロンや超耐久競技に取り組んできた同氏は、精神力と持久力の限界に挑む存在として注目を集めていると、同日付のG1など(1)(2)が報じた。
同氏が競技としてスポーツに本格的に向き合い始めたのは、パンデミック下で外出制限を受け、自宅での生活を余儀なくされていた時期だという。「自分はどこまで到達できるのか」という問いを原動力にトレーニングを開始し、やがて長距離トライアスロンの代表格である「アイアンマン」に挑戦。遠泳3・8キロ、自転車180キロ、ランニング42キロを完走した後、さらに過酷な超長距離競技「ウルトラマン」の存在を知り、これにも挑戦して完走を果たした。ウルトラマンは3日間で総距離約515キロを進むステージ制競技で、初日に遠泳10キロと自転車145キロ、2日目に自転車276キロ、最終日にラン84キロを課す極限のレースとして知られている。
こうした挑戦を重ねる過程で、同氏の生活は大きく変化した。もともとは会計・経営分野に従事するオフィスワーカーで、当初は仕事と競技を並行して続けていた。だが、長距離競技への取り組みが次第に生活の中心を占めるようになり、最終的に競技への専念を決断した。
探究心はやがてギネス世界記録への挑戦へと向かい、2023年5月にはボリビアのウユニ塩原で170キロ走に挑戦した。標高約3600メートル、日中は30度、夜間は氷点下10度に達する環境下で、33時間4分10秒で走破し、それまでの世界記録であった55時間を大きく更新した。同氏はこの挑戦について、乾燥と高地の影響で「同行したチーム全員が鼻血を出していた」と振り返り、地平線が続く過酷な環境を印象的に語っている。
リオ市内のレメ―からポンタルまでの海峡約36キロを泳ぎ切った経験も持つ一方で、本人が最も苦手とするのは屋内での単調な運動だという。同じ場所で長時間走り続けることを「最も退屈で精神的に厳しい」と位置づけ、その心理的負荷こそが今回の挑戦の核心だったと明かしている。
こうした経緯を経て、2025年10月にはランニングマシン12時間走で110キロを記録し、二つ目のギネス世界記録を達成した。今回の24時間走は、その延長線上に位置づけられる挑戦となった。
走行中はトイレやシューズ交換のための短時間の休憩にとどめ、ライブ配信と証人立ち会いのもとで記録が計測・検証された。ギネス世界記録としての正式認定は、今後の審査を経て確定する見通しだ。
フィアモンシーニ氏はすでに次の挑戦を見据えている。目標とするのは、米カリフォルニア州デスバレーで開催される約217キロの超長距離レース「バッドウォーター」だ。気温50度に達する世界有数の過酷な環境で行われることで知られ、同氏はこの大会に向けた準備を進めているという。パンデミック下の自宅で生まれた問いは、形を変えながらも、なお彼を〝次なる極限〟へと駆り立てている。








