フィッチ、ブラジルの格付をBBに上げる=5年ぶりの評価上昇=財政均衡法や税制改革評価

民間格付け会社フィッチが、「財政で予想以上の向上が見られる」として、ブラジルの格付けをこれまでの「BBマイナス」から「BB」に上げた。26日付フォーリャ紙サイトなど(1)(2)(3)が報じている。
26日に発表された報告で、フィッチは今回のブラジルへの評価を引き上げた理由として「活性化した政治と改革」をあげ、「新政権がマクロ経済と財政で期待以上の働きをしている」とした。さらに「ルーラ大統領はうまく統治できており、政策を前に進めることができている」とした。
とりわけ、ルーラ氏がここ数年間続いていた新自由主義経済路線を変えることを示唆しながらも、急激な変化よりも、より現実的な路線を選んでいることが評価されている。
フィッチは2018年のテメル政権の時代に「財政赤字を抱え、公会計で危機を迎え、社会保障改革の承認で失態があった」とし、ブラジルの格付けをBBマイナスに下げており、今回の見直しまでその格付けのままだった。
フィッチが評価した主要因は財政均衡法案(アルカボウソ)の連邦議会での進展、さらに財政改革法案の下院での承認だった。「これらの法案の存在により、財政が徐々に強固になってくる」「GDPから見た負債は現在も高率だ。だが、ゆっくりとではあるが、快方に向かっていくだろう」とフィッチは評価している。
フィッチは同時に、ブラジルの2023年の国内総生産(GDP)予想を当初の0・7%から2・3%に大きく上げた。2024年に関しては、「2%以上の成長があった翌年ゆえの反動」とのことで、1・3%にとどめている。
今回の格付け上昇は、1カ月余り前に同じく「3大格付会社」の一つとされるスタンダード&プアーズ(S&P)が、ランクこそあげなかったものの、ブラジルの状況を「安定」から「良好」に変えたのに続くものだ。S&Pによる現在の評価はBBマイナスだ。
もう一つの3大格付会社、ムーディーズによるブラジルの評価は「Ba2」で安定で、今回のフィッチによる評価と同ランクだ。このランクがあと二つ上がると、「債務をしっかり返済する国」と認められ、投資を推薦される状況となる。
この報道に対し、フェルナンド・ハダジ財相は、「フィッチは格付けをあげてくれた最初の権威会社となった。私は常々、三権の調和こそが、再び投資をしてもらえる国になるための条件だと言い続けてきたし、それは今後も言い続ける」と発言。連邦議会との協調性を強調した。
アルトゥール・リラ下院議長も、「ブラジル経済にとって重大な勝利だ。格付け上昇は議会の支持の下に進められた連邦政府の経済政策の賜物だ」と喜んだ。
今回のフィッチの格付け上昇や25日発表の15日締めの広範囲消費者物価指数がデフレだったことを受け、来週開かれる中銀の通貨政策委員会(Copom)での経済基本金利(Selic)がどう動くかが注目されている。