《記者コラム》アマゾン監視でNASAと協力=人工衛星の開発も視野に入れ

24、25日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)によると、ブラジルを訪問中のアメリカ航空宇宙局(NASA)のクラレンス・ウィリアム・ネルソン(通称ビル・ネルソン)所長は、政府閣僚らと会談し、アマゾン監視のためのNASA衛星データ利用を提案。ブラジル政府は新衛星の共同開発などを申し出たという。
ルシアナ・サントス科学技術革新相によると、ネルソン氏はアマゾンの森林破壊の監視と保全活動におけるパートナーシップ拡大を図るためにブラジルに来ており、24日にはブラジリアでルーラ大統領と、25日にはサンジョゼ・ドス・カンポス市の国立宇宙研究所(Inpe)で科学技術相やクレジオ・ナルディン所長、マルコ・アントニオ・シャモン研究員と会談した。
ネルソン氏は、アマゾン森林監視強化のため、NASAが打ち上げる二つの衛星のデータにブラジルもアクセス出来るようにすることを提案している。ブラジル側はこれを受け、アマゾン監視のための新衛星及び航空宇宙技術の共同開発に関する提案を行ったという。
ブラジルがアマゾンの監視に使っている衛星は「CBERS」と「アマゾニア1」の2基で、後者は純国産だ。また、Inpeが開発中の合成開口レーダー(SAR)は、観測地上空に雲があっても観測が可能で、熱帯雨林アマゾンのあらゆる気象条件でもデータを生成できるという。
他方、NASAが打ち上げる衛星の一つはインドと提携して開発したもので、24年1月に打ち上げられる。ネルソン氏によると、新衛星は森の木立(天蓋)の下で起きていることも観測でき、大木を枯らす原因となる下草を燃やすといった行為さえ監視できるという。同氏はこうした技術の開発には時間がかかるが、新衛星のデータにアクセスすればブラジルも1月からこの新技術を利用可能だと提案したという。
ナルディン氏はネルソン氏の提案も受けた上で共同開発の可能性を探っているとしたが、この話がどこまで進むかは、連邦政府が了承するか否かにかかっているとも言い添えた。
技術開発や他国との提携という意味では、6月に中国軍関係者がブラジルに来たことや、ブラジル陸軍が中国軍と提携して、軍事装備品の生産を検討中であることを23日付オ・スル・サイトなど(3)(4)が報じ、弊紙でも取り上げたばかり。
コラム子の2番目の兄は、幼少期に満州からの引き上げのどさくさの中で亡くなった。他国との提携に関しては戦争や軍事技術は蚊帳の外に置いておきたい話で、同じ提携なら平和利用の技術提携や技術開発を望んでしまうが、これは現実逃避だろうか?
いずれの話も決定事項ではないが、毎日の食に事欠く人もいる中、貧しい人や弱い立場の人、果ては地球とも共存できる道を探り、税金や人材、蓄積してきた技術の使い方にも知恵や思いやりをと願ってしまう。それを言えば、記事執筆のために長時間使用している照明やコンピューターも地球温暖化の一因と言われるかもしれないが…。(み)
(3)https://www.osul.com.br/exercito-brasileiro-discute-parceria-com-a-china/
(4)https://veja.abril.com.br/coluna/radar/exercito-brasileiro-discute-parceria-com-a-china/