ゼマ知事=南南東部連合提唱で波紋=北東部連合に対抗して=保守州VS革新州対立?

ミナス・ジェライス州のロメウ・ゼマ知事(ノーヴォ)は5日、「南東部と南部が組んで北東部に対して前線を張りたい」と南南東部連合(Cossud)を提唱した。これは左派候補支持者が多い北東伯グループと対立するニュアンスを持つために、主に革新派政治家から国家分裂を誘うと批判を受けている。
騒ぎのきっかけとなったのは、ゼマ知事が5日付エスタード紙(1)のインタビューでの発言だった。ここでゼマ氏はボルソナロ政権を評して、「10段階評価で8点だが、コミュニケーションでは5点だった」と発言。保守派をまとめられなかったとの見解を示した。
ゼマ氏は南東部、南部の知事にはタルシジオ・デ・フレイタス氏(聖州)、ラチーニョ・ジュニオル氏(パラナ州)、エドゥルド・レイテ氏(南大河州)と保守系が揃っていることを指摘し、「2026年の選挙までに団結し、一本化する必要がある」と話した。ゼマ氏自身が26年大統領選の有力候補と目されている。
ゼマ知事はさらに、南東部と南部は「経済規模で70%、人口も56%を占め、下院でも256人(全議席の半数)を保持している。だが、上院では議席が27(全議席の3分の1)に過ぎない。上院ではいつも北部や北東部の州が有利だ」と不満を述べた。
ゼマ知事はそこで、「南東部と南部7州で共同体をつくりたい」とし、そのグループ名を「南南東部連合」と名付けているという。ゼマ氏はCossud創設の目的を「北東部と北部に対抗するため」と答えている。2019年8月4日付フォーリャ紙はこの時点で、北東部9州知事(うち7州は左派政党出身)は来るべき大統領選の2極化をにらんで北東伯連合を組織したと報じている。
この発言は5日に報じられると共に、ネット上で物議を醸し、ゼマ氏を「差別主義者」などと中傷する主に革新勢力からの声が相次いだ。
南東部や南部の保守派がとりわけ北東部をよく思わない傾向は予てから存在している。大統領選でも、保守系候補が南東部や南部でリードしても、7割近くが左派票の北東部で逆転されるケースが多い。昨年の大統領選でも同様の流れだった。
だが、北東部が経済的に貧しく、黒人も多い土地柄であることから、北東部への嫌悪感が貧困や人種に基づいた差別につながる場合も少なくない。南東部や南部の都会に引っ越してきた北東部出身者が被害を受けることが報じられる時がある。
自分たちの方が先に連合を作った北東伯知事グループ側からは、今回の動きに「差別的だ」との声が上がっている。州知事でもあったフラヴィオ・ジノ法相(ブラジル社会党・PSB)はゼマ氏の発言に不快感を示し、「憲法19条で地域による差別は禁止されている」「憲法への裏切りは愛国心への裏切りだ」と批判した。パライバ州のジョアン・アゼヴェド知事(PSB)も、「分離主義者」と呼んでゼマ氏を批判した。
北部アクレ州出身のマリーナ・シウヴァ環境相も、「エコシステム上、北部は不可欠。法定アマゾン抜きでは南部、南東部の生活もなりたたない」と主張した。
数少ない賛同例は、6日にレイテ知事がゼマ知事の提案に対して行ったビデオを通じた発言だ。同知事は「Cossudは税制改革や開発、貧困対策などに関して地域で団結することを説いたもの。地域差別ではない」とし、「南東部や南部の北東部や北部に対する優越性を示したものだとは思わない」と擁護し、話題となった。