小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=38
「新年おめでとう。今年も頑張ろうな」
岡野は重そうな白い風呂敷包を差し出した。
「家内が、皆さんに食べてもらいたいと言うので、雑煮とお神酒を持ってきた」
律子は、胸の詰まる思いで包を受け取った。
「その後、田倉さんはどうかな」
「パルダン剤が効いたみたいで大分よくなりました。おかげさまで、本当に助かっています」
「そりゃ良かった。もう起きられるかい」
「無理をしないように休ませています」
「ちょっと、ごめんよ」
岡野は、田倉の部屋に入って行った。
「田倉さん、起きられますか。正月ですよ、新年おめでとうございます」
気軽な表情で声をかけた...
有料会員限定コンテンツ
この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。
認証情報を確認中...
有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。
PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。