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アマゾン・サミット=8カ国首脳がベレン宣言採択=油田開発等では見解の相違も

2023年8月10日

アマゾン8カ国の首脳達(Ricardo Stuckert/PR)
アマゾン8カ国の首脳達(Ricardo Stuckert/PR)

 【既報関連】8~9日開催のアマゾン・サミットは世界が注目する中でベレン宣言を採択したが、ルーラ大統領が求めた2030年までのアマゾンの森林伐採ゼロ化は入らないなど、アマゾン8カ国の首脳の中に見解の相違があることも明らかになったと8日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。

8日の会合でのルーラ氏、エルデル・バルバリョ・パラー州知事、ソニア・グアジャジャラ先住民相(Ricardo Stuckert/PR)
8日の会合でのルーラ氏、エルデル・バルバリョ・パラー州知事、ソニア・グアジャジャラ先住民相(Ricardo Stuckert/PR)

 サミットでの討議は9日も続いたが、アマゾン協力条約機構(OTCA、英語はACTO)内のアマゾン諸国の首脳は8日夜、ベレン宣言に署名した。
 8日付アジェンシア・ブラジル(3)によると、討議の土台は事前に開催された対話イベントで練られた内容で、アマゾンが回復不能となることの回避策中心に、奴隷労働撲滅や健康、食料や栄養の重要性、科学技術やエネルギー転換、気候変動、人権擁護活動、領土、先住民族や伝統的住民の保護などの他、若者や女性、アマゾン地域の黒人といった横断的な項目も議論された。
 ベレン宣言はOTCAが一致してアマゾンや生物の多様性保護のために必要なテーマに取り組んだ最初の文書で、森林破壊と戦うための同盟創設などが評価された一方、共通目標や資金の定義、森林や土地の劣化に対する具体的な対策などの欠如は批判された。
 合意事項には、温室効果ガス排出による気候変動の影響を受けている途上国への財源提供の意味で先進国に費用を課すことが含まれる。また、9日付アジェンシア・ブラジル(4)によると、先進国が以前約束したものの、実現していなかった年1千億ドルの拠出の実現と新たな財源の創設も求めた。
 他方、8日付エスタード紙サイト(5)(6)などによると、温室効果ガス排出源の化石燃料に関しては、アマゾン河口の油田開発にこだわるルーラ大統領に対し、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領が油田開発やその利用に異論を唱えるなど、見解の相違も見られた。
 また、8日付アジェンシア・ブラジル(7)によると、ペルーのジナ・ボルアルテ大統領がアマゾンの持続可能な開発には現地に住む人達の保護が不可欠とし、先住民族や原住民族への配慮抜きでは開発は語れないと力説したことも目を引いたようだ。
 8日付フォーリャ紙サイト(8)によると、AP通信やワシントンポストなどは、「ブラジル人指導者はアマゾン・サミットが世界に必要な保護を取り戻すことを望んでいる」「ルーラ氏はアマゾンを救うためのブラジルの戦いに近隣諸国を招いた」といった声明を掲載。欧州では、「約束された緊急支援はどこだ」とし、緊急支援が「自由貿易協定に関する欧州連合とメルコスル間の交渉の圧力手段」として使われているとの欧州政府批判や、「アマゾン・サミットにマクロンが行かないのはなぜだ」といった報道が続いた。
 フランスは仏領ギアナに対しても大使の出席を認めただけだったが、8日付ジョーヴェン・パン(9)によると、マクロン氏はその後、サミット開催に関して、ルーラ氏に謝辞を述べている。


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