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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=48

2023年9月6日

「この植民地も開拓して三年だ。このあたりで、男女青年団を結成して、この非常時に備えたい。と同時に文化面でも活躍したい。夜学をはじめるとか、子供に日本語を教えるとか、この一帯に日本語学校はないし、このままでは俺たちの弟妹は無学の徒となってしまう」
 浜野が生まじめに発言する。
「いい案だけど、誰が教師になるんだ。お前活弁なんて教えるつもりではないだろうな」
 野沢が茶化す。
「まじめに聞け。俺にはひとつ名案があるんだ。この植民地の隣にはポルトガル系の家族が経営している耕地があるだろう。みかんの沢山植わっている土地だ。この前、一也と一緒にみかんを買いに行ったら、...

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