小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=49
「人違いかもしれないし、やはり出かけるのは止めるわ」
律子は、一刻も速く隆夫たちに再会したい気持ちを抱きながら、同時に避けねばならぬ心の迷いが、辛く、もどかしかった。
第四章
邂 逅
添島植民地は、労働者の住宅地点から北方向へ四キロ伸びていて、それから先は原始林である。その中を東西に郡道が通じていた。バス停留所の近くには何軒かの雑貨店があって、日曜日になると買物客で賑わった。
この郡道はペンナ駅から南に折れてマリリア市に通じているが、両市の距離を短縮するために西側のサーレス植民地から添島植民地、さらに隣接のイタリア人とポルトガル人所...
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