《記者コラム》環境活動故の死者177人=アマゾンは最多の39人

持続可能な開発はニューヨークで開催中の国連総会のテーマの一つでもあるが、2022年は持続可能な開発に不可欠の、環境や土地を守ろうとする活動家が177人命を落としたと、英国の非政府団体(NGO)グローバル・ウィットネスが発表した。
12日付アジェンシア・ブラジル(1)によると、同団体は10年以上、先住民や森林警備員、当局、ジャーナリストなどの環境と土地を守ることに専念する人達の脅迫や死亡事件に関する報告を行っているが、昨年は環境や土地の防御者に対する攻撃を生態系別にもカウントした。
それによると、殺された177人中、88%はラ米諸国での犠牲者で、全体の22%(39人)はアマゾンの熱帯雨林で殺されたという。
アマゾンの森の面積は約690万平方キロで、南米8カ国に広がっている。グローバル・ウィットネス上級コンサルタントのガブリエラ・ビアンキーニ氏は、この数字はアマゾンが活動家にとって世界で最も危険な場所の一つであり、地域全体で暴力や拷問、脅迫が横行していることを示していると強調している。
また、13日付アジェンシア・ブラジル(2)は、コロンビアでは22年に少なくとも60人の環境活動家や人権活動家が命を落としたと報道。グローバル・ウィットネスのラウラ・フロネス上級コンサルタントは、同国では先住民や解放された黒人奴隷のコミュニティ、小規模農家、環境活動家らが残酷な殺害者達の標的にされており、環境活動家にとって世界一危険な国と語った。
同国は2021年こそ若干の減少を見たが、2019~20年、22年は環境活動家の死者数トップだった。22年8月に就任したグスタヴォ・ペトロ大統領は暴力撲滅を約束したが、戦いはまだ続きそうだ。
殺害された環境活動家数2位はブラジルの34人で、メキシコも含めた上位3カ国で、全体の70%超の125人になる。
ブラジルで環境や土地を守る活動故に殺された人は2012年からの11年間で376人に上る。同団体は、アマゾンを搾取と破壊の嵐にさらし、環境保護機関を解体、先住民の土地への不法侵略を煽る政策をとった前政権で悪化した状況が、現政権による規制機関再編と先住民省などの環境を守る人達の保護に役立つ省庁創設で改善することを望んでいる。
自然や生態系、先住民族や解放奴隷の子孫達との共生・共存が気候変動の嵐の中にある地球を守ることにもつながることを願わずにはいられない。(み)