チエテ川の汚染地域が倍増=下水処理設備拡充は不可欠

「チエテ川の日」の22日にあわせ、非政府団体(NGO)「SOSマタ・アトランチカ」が、チエテ川の複数用途に水質が適さない汚染地域が2年前の約2倍の160キロに増えたと発表したと19日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)が報じた。
チエテ川は1100キロに及び、流域265市917万2066ヘクタール中722万7066ヘクタール(79%)は大西洋岸森林地帯(マタ・アトランチコ)に属している。
今回調査で汚染地域とされた160キロは同NGOが観察している水源地のサレゾポリス市からバラ・ボニタ市までの576キロの27・7%にあたり、127キロの水質は「悪」、33キロは「最悪」と評価された。水質調査用のサンプル採取点59カ所の内、悪は13カ所(22%)、最悪は6カ所(10・2%)だった。
今年の汚染地域の範囲は22年調査の122キロを31・1%上回り、21年の85キロの倍近い。
水質が「最良」の所はなかったが、サレゾポリス~モジ・ダス・クルーゼス間とバラ・ボニト貯水池付近の6カ所(10・2%)は「良」で、残りの34カ所は「普通」だった。
1992年にリオ市で開催されたEco‐92の最中に120万筆以上の署名を集めてルイス・アントニオ・フレウリ・フィーリョ知事(当時)に直訴したことで始まったチエテ川浄化計画「プロジェクト・チエテ」の責任者、アンドレア・フェレイラ氏によると、汚染地域の増加は下水の垂れ流しや雨などで流された農薬や肥料などによる拡散汚染、不規則な雨の増加その他の要因によるものだ。
同氏によれば、チエテ川浄化は「巨大な挑戦(課題)」であり、今回の調査結果は「下水処理の拡大」が不可欠であることを示すという。
同NGOの「川観察」プロジェクトのコーディネーターのグスターヴォ・ヴェロネシ氏は、「チエテ川の水質は一定の水準を保っていたので汚染地域の増加は警告と言える」と評価。基本的な衛生設備は問題解決のための重要な要素だが、自治体や企業、農家、貿易業者、市民が協力して行っている活動もあると語った。
汚染地域の増加の一因の不規則な雨の増加や、水質低下の一因ともなる酸性雨は気候変動の影響でもある。20日付オ・テンポ(7)によれば、グティエレス国連事務総長は20日に気候変動に取り組む時間は残り少ないと発言しているし、22日は国際ノーカーデーとチエテ川の日。環境問題を考える好機だ。