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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=60

2023年10月4日

 ときに、先日の新聞だが、ブラジル東北地方一帯に跋扈していたランピオン一味が全滅したと報ぜられている。セルジッぺ州のサン・フランシスコ河支流沿岸のアンジッコ洞窟内で軍警四〇数名と激戦の末のことという。盗賊扱いされたランピオンではあるが、反面、政治的な手腕に長け、地方の義賊、英雄視されたため、彼を擁護する連中も多くいて、なかなか逮捕できなかった。そのうちにサンパウロ州も荒らされるのじゃないかと噂されていたが、これでひとまず安心だ。
 我々には日支事変の拡大によって、政府は日本移民に警戒の色を強めている。外国語新聞発行の取締り規制を設けたり、日本語学校閉鎖の噂も流れて...
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