最高裁=判事の単独判断禁止=上院で承認、下院へ=高まる議会側の反感

上院で22日、最高裁判事が単独で下す司法判断が及ぶ範囲を限定する憲法改正法案(PEC)を賛成多数で可決した。このところ、最高裁が下す判断に対する上院の反感が高まっていた。22日付G1サイト(1)(2)やカルタ・カピタル(3)が報じている。
このPECは、最高裁判事が単独で下す司法判断で連邦議会の決めた法律や法令の効力を停止することを禁ずるもので、大統領や上下両院議長の定めた条例や法令を禁じる単独の判断に関しても適用される。
また、これは最高裁に限定したものでなく、三審の高等裁や二審の地域裁、一審の地裁の判事にまで適用される。
このPECそのものは2年ほど前から存在していたが、上院内での最高裁の反発の高まりで審議されることが決まった。上院は、先住民居住地の制定は現行憲法発効の期日に基づいて行われるとするマルコ・テンポラルや、薬物所持の刑罰化に関し、最高裁が上院内で審議した際の意向とは異なる判断を行ったことを良しとしておらず、保守派を中心に「司法機関が立法機関に干渉している」として、不満を高める出来事が続いていた。
上院の不満は収まらず、10月には最高裁判事の任期を、現在の「75歳まで無制限」ではなく、「8年ないし11年に制限する」との法案を審議する意向を示していた。
この任期制限に関しては、ロベルト・バローゾ最高裁長官が「今それを行う意味を感じない」とし、アルトゥール・リラ下院議長も「三権の関係が悪化しかねない」と難色を示したため、現時点では進んでいないが、その一方で上がってきたPECがこの「判事単独の司法判断による禁止行為の禁止」だった。現在はそのような制限は存在せず、最高裁判事の決定で法律や法令を差し止めることができるが、今回の法案が承認されれば少なくとも、複数の判事による審理抜きには行政府や立法府が定めた法律や行為を禁ずる判断は出せなくなる。
この日の投票は2回行われ、共に52票対18票で承認された。この法案は下院に回され、審議されることになる。
ただ、今回の承認は、得票差に余裕のないものでもあった。PECの場合、憲法に関することであることから賛成には全体の6割、つまり49票が必要だったが、それを3票しか上回らない形での承認だった。実際、投票前には承認されるか否かは微妙との声も上がっていた。
それにもかかわらず承認された背景には、上院の多数派のリーダーのオットー・アレンカール上議(社会民主党・PSD)が提案した、当初このPECに含まれていた「判事の票の見直しの時間制限」に関する項目を外すよう求めたことがある。
報告官を務めたエスペリジアン・アミン上議(進歩党・PP)はこれを受け入れ、その項目を外した形で審議にかけていた。
また、オ・カフェジーニョ(4)によると、今回の投票では、労働者党(PT)からただ一人、ジャッケス・ヴァギネル上議が賛成票を投じたことも大きかった。同上議は上院政府リーダーで、当初、このPECの投票では棄権すると公言していたが、このPECの良い観点から見ることにして賛成票を投じることに方針転換。それが連邦政府支持の上議の心変わりを誘ったとも言われている。