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《記者コラム》予選3連敗の泥沼セレソンと似ているもの

2023年11月24日

21日の試合(Staff Images/CBF)
21日の試合(Staff Images/CBF)

 サッカーのブラジル代表(セレソン)がW杯南米予選でまさかの3連敗を喫した。1敗目のウルグアイ戦は、2015年の前々大会開幕戦対チリ戦以来の予選での敗北ということで話題になったが、うち続く敗北にブラジルのサッカーファンは心配を募らせている。心配の原因は連敗の理由がはっきりとわからないことだ。

 3連敗の理由として挙げられているのは、対戦相手がウルグアイ、コロンビア、アルゼンチンと普段から油断ならない相手が続いていたこと、そして、主要選手の相次ぐ故障だ。
 現在セレソンは、ディフェンダーのミリトンに始まり、ボランチのカゼミロ、キーパーのエデルソン、そして攻撃の軸のネイマールにヴィニシウス・ジュニオルが欠場している。
 確かに故障者による影響はあるだろう。だが、いくら故障者続きとはいえ、それでも欧州5大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス)の所属者だけで先発が構成できるほどに戦力が豊富なのが今回の伯国だ。ウルグアイやコロンビアは、米国やメキシコのリーグ所属者も少なくなく、負けた理由に「選手がいない」は言い訳にならない。
 では、指揮に問題があるのかと言えば、そうでもない。セレソンを率いるフェルナンド・ジニス監督代行は、所属チームのフルミネンセを南米一にしたばかりで国内の指導者として定評がある。
 一体何が悪いのか。謎めくセレソンの現状だが、一つ似ている例をコラム子は思い出している。それは2018年W杯当時のアルゼンチンだ。同大会でのアルゼンチンは2014年大会で準優勝を経験したメッシ、アグエロ、ディ・マリアに次世代の若手、イカルディにディバラが加わり、攻撃陣だけを見れば世界でもトップクラスのものだった。
 だが試合になると、この攻撃陣がうまく機能せず、逆に不安定な守備陣が大量失点し、大敗することもあった。あの時のアルゼンチンは誰を攻撃でメッシと組ませるのかに苦心し、層の薄い守備陣にも苦しんでいるように見えた。
 今のセレソンはこの時のアルゼンチンほどではないが、攻撃に決定的な型がなく、ミリトンの不在やサイドバックの弱体化で、国際的に鉄壁と見られていた守備に隙が生じているように見受けられる。
 もしコラム子の見方が当たっているならば、アルゼンチンがしたように攻撃の軸をまとめ、守りを固くする方向で進めば良いのではと思う。幸いにして、アルゼンチンは軌道修正してW杯優勝をたぐり寄せている。
 セレソンは2001年に4連敗をした経験がある。しかし、そこから軌道修正して2002年のW杯では優勝している。セレソンには今回の連敗も楽に考えて、来年就任するアンチェロッティ監督の下、立て直しに臨んでほしい。(陽)


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