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アラゴアス州都=地下採掘場が崩落危機=3日間で2m弱地盤沈下=非常事態、住民大量避難

2023年12月6日

地盤沈下が最も深刻なムタンジェ地区(Defesa Civil de Alagoas)
地盤沈下が最も深刻なムタンジェ地区(Defesa Civil de Alagoas)

 アラゴアス州州都マセイオーで、ブラスケン社(石油化学企業)が岩塩鉱床を掘り出して生まれた地下採掘場の一部が崩れ、マラカナン・スタジアム並みの大陥没が起こる可能性が高まっている。当該地区住民や病院は既に別の地区に移ったが、2018年に起きた地震など、長年続いていた問題への対応の遅れなども問題となりそうだ。当局はブラスケン社のみに責任があるかの物言いで終始している。地盤沈下速度は減速とも報じられているが、いつ大陥没が起きてもおかしくない予断を許さない状態が続いている。

11月30日に開かれた同州選出議員達との会合(左から2番目がアルトゥール・リラ下院議長、その右隣がカルダス市長)(Itawi Albuquerque/Secom Maceió/Divulgação)
11月30日に開かれた同州選出議員達との会合(左から2番目がアルトゥール・リラ下院議長、その右隣がカルダス市長)(Itawi Albuquerque/Secom Maceió/Divulgação)

 4日付フォーリャ紙サイトなど(1)(2)(3)によると、マセイオー市での岩塩採掘が問題視され始めたのは2018年3月3日の地震が引き金だが、同年2月の大雨でも壁のひび割れなどが起きたとされている。住民達によると、こういった被害は少なくとも10年前から起きていたという。
 だが、11月29日付G1サイトなど(4)(5)(6)によると、今年11月は5回の地震が観測されるなど、状況が逼迫化。従来は年数ミリだった地盤沈下が1時間数センチに加速。家屋や建物、アスファルトの亀裂や隙間、ひび割れも悪化し、危機感が一気に高まった。
 1日の時点では、1日62センチ、11月28~30日には地盤が計1・87メートル沈下と報じられた。1日の沈下は一時5センチ/時に達したが、2日未明の地震後は減速。
 3日付アジェンシア・ブラジルなど(7)(8)(9)(10)によると、3日朝は0・7センチ/時、3日夕刻は0・3センチ/時、1日7・4センチとなり、0・25センチ/時まで落ちた。
 ただし、5日付G1サイト(11)によると、4日午後からは再び加速し始め、5日朝は0・27センチ/時と報じられた。この時点では、11月30日以降の沈下は1・86メートル、直近24時間では6・5センチと報じられた。
 地盤沈下の原因でいつ崩落してもおかしくないとされているのは、市内35カ所の岩塩採掘用洞窟(竪穴やトンネルを含む)中、18番と呼ばれるものだ。ここと共に隣接する7番と19番も崩れれば、マラカナン・スタジアムと同規模の大陥没が生じるとされている。
 崩落が一気に起きるか、部分的なもので終わるかで被害の程度は異なるが、11月30日付アジェンシア・ブラジルなど(12)(13)によると、同市は11月29日に非常事態を宣言。複数の閣僚を派遣した連邦政府も非常事態を承認した。市防災局は優先行動ラインマップ第4版を作成し、不動産の移転や不安定な地域の継続的監視を実施中だ。
 優先行動の一つは18番洞窟があるムタンジェ地区と周辺のボン・パルト、ベベドウロ、ピニェイロ、ファロルの計5地区住民の移転だ。一部住民は立ち退きを拒んだが、11月30日付G1サイト(14)にあるように、裁判所が11月30日に警察の動員を認めたことで、5地区住民は3日までに全員避難した。18年以降の避難者は1・4万軒以上、約6万人で、ピニェイロ区サナトリオ病院も11月29日までに患者を別の場所に移した。
 1日の動きは更に慌ただしくなった。1日付CNNブラジルなど(15)(16)によると、ジョアン・エンリケ・カルダス・マセイオー市長が同件を「現在進行中の世界最大の市街地災害」と表現。ロドリゴ・クーニャ上院議長代行は同日、2019年発表の伯国地質調査所の報告書がブラスケンの鉱山の崩壊を防ぐには浸食を安定させる必要があると報じていたとし、マセイオー市の地盤沈下は公表された悲劇とした。
 1日付ヴェジャ誌サイトなど(17)(18)(19)によると、ルーラ大統領は外遊先からアルキミン副大統領に全面支援を要請。パウロ・ダンタス知事との間でも5日に緊急会議を開くことを決めた。
 また、パシェコ上院議長もアラブ首長国連邦から電話をかけ、ブラスケンのロビー活動で設置が遅れていた議会調査委員会(CPI)の開設に向けて動くと約束。同州選出のレナン・カリェイリョス上議は5日朝、副大統領と会合を持っており、ルーラ大統領が外遊から帰国したら現地に連れて行くとも語っている。
 1日付カルタ・カピタルサイト(20)によると、レナン・フィーリョ運輸相は1日、同件の責任はブラスケン社にありとしたが、国や自治体の責任も問われそうだ。


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