連邦政府=3千億レの新産業政策発表=市場「過去の失敗の繰り返し」

連邦政府が22日、ブラジルの産業を刺激して発展を図るための「ブラジル新産業(NIB)」を発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。NIB立ち上げは国家産業開発審議会(CNDI、議長はアルキミン副大統領兼商工開発サービス相)の席上で発表された。
22日付連邦政府公式サイトなど(3)(4)(5)(6)によると、新政策は2033年までを見越し、持続可能性と革新性をもって国の発展を後押しするもので、日常生活の直接改善、生産的及び技術的な開発、国内産業の競争力向上、投資の誘導、雇用促進、国際市場における伯国の存在感の強化を目指すとしている。
新政策の柱は六つで、持続可能な農産業チェーンでは、農業GDPに占める農業産業の割合を5割に高め、家族農の機械化率を7割に引き上げる、家族農に提供する機械の最低95%は国産か国産部品を使ったものとするとしている。経済と保健産業の強力な結合では、医薬品やワクチン、医療機器や医療資材、その他の投入物や技術の需要の7割を国内生産で賄うことを目指す。持続可能なインフラや衛生、住宅、移動では、自宅~職場間の移動時間の2割削減、公共交通網の生産密度の25%向上(輸入への依存軽減)、業界のデジタル変革では国内産業の9割のデジタル化、新技術分野での国内生産の比率の3倍増を目指す。
バイオエコノミーや脱炭素化、エネルギー転換と安全保障では、産業界のGDPの付加価値あたりの二酸化炭素排出量の3割削減、輸送エネルギーマトリックスでのバイオ燃料比率の5割増加、生物多様性の技術的かつ持続可能な利用の年1%増加が目標だ。国家主権と防衛に必要な技術では重要技術の生産における50%の自主性確保を目指す。
各目標は2024―26年活動計画に盛り込まれ、CNDIが90日以内に評価する。
同政策では補助金や低金利の融資、連邦投資の拡大などの手段の他、特定部門の刺激のための税制上の優遇措置や特別資金も活用する。
第3期ルーラ政権中の2026年までの投資額は3千億レだ。内1060億レは昨年7月の初回会合で確認済みで、今回は1940億レが加えられた。資金の大半は国立経済社会開発銀行(BNDES)、研究プロジェクト金融機関(Finep)、伯国産業研究イノベーション会社(Embrappi)が融資する。210億レは返金不可で、イノベーションやデジタル化に関するBNDESの融資は、長期金利(TLP)より低い参照金利(TR)で調整される。
生産性の高い産業への投資額は1820億レで、変革性やデジタル率の高い産業へは660億レ、輸出産業には400億レ、環境に配慮した産業には120億レを振り分ける。
なお、政府の購買メカニズムはメルコスルや欧州連合との貿易協定採択交渉の障害となるとして論議を引き起こしており、欧州の企業家らは、伯国政府による商品購入や工事の施工、サービス契約の入札時に、伯国企業と同等の条件を与えるよう求めている。
同政策への反応は冷ややかで、22日付アジェンシア・ブラジル(7)によると、ドルは1・24%高の4・988レで、サンパウロ平均株価指数も0・81%減の12万6602ポイントで終えた。22日付オ・グローボサイト(8)も、新政策は旧態依然で、機能しないと分かっている政策の焼き直しといったエコノミスト達の批判を掲載している。