小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=98
血液検査と検便を行ない、大腸菌駆除の薬を受けとり、白血球が欠乏しているから輸血の要ありと言われた。察するところ、担当医は癌によって現われる部分的患部の治療を施しているのみで、病原はそのままになっている。それでも大腸菌を殺したことによって少々気分がすぐれ、もう大丈夫だと自ら励ましていたが、母のその言葉は私にはたまらなかった。
父は自分の書籍類を他人が整理するのを非常に嫌うため、私たちは手をかけぬことにしていた。ある日、余りにも埃まみれなので、父に内緒で埃を払ったが奥までは落ちない。止むを得ず全部を引き出し、清掃し元の場所に戻していたら、本箱の奥からヌード写真や、...
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