コロンビア=青い肌のAI女性候補出馬へ=先住民の合意形成をデジタル化
南米コロンビアの国家選挙評議会(CNE)は、人工知能(AI)によって生成された先住民女性の仮想キャラクターの立候補を正式に受理した。青い肌と機械的な音声を持つ「ガイタナAI(Gaitana IA)」は、先住民特別選挙区から上下両院での当選を同時に目指す。約1万人規模のコミュニティを基盤に、環境保護や社会問題を訴える動画を連動して配信している。現行法ではAIに被選挙権が認められないため、当選時は人間が代理として議場に立ち、AIが導き出した合意を代弁する仕組みだ。20日付のメトロポレスなど(1)(2)(3)が報じた。
ガイタナは、先住民ゼヌー出身のカルロス・レドンド氏の構想に基づき、地域社会の伝統的な合意形成手法をデジタル上で再現する目的で開発された。レドンド氏によれば、先住民社会では特定の指導者が独断する文化はなく、対話を通じて集団の意見をまとめる長老の役割が重視されてきた。こうした伝統的な意思決定プロセスを最新技術で再構築したのが、今回の仮想候補である。
立候補にあたり、CNEは「AI単体での候補者登録は不可」との法的見解を維持した。これに対し陣営は、レドンド氏ら2人の人間を代表者として登録。当選後はこの代表者が議席を占め、プラットフォーム上でAIが示した民意をそのまま議会活動に反映させるという運用を提示し、受理された。
ガイタナの基盤となるデジタルプラットフォームは参加型設計を採用している。利用者が議題を投稿すると、AIが膨大な情報を整理して要点を抽出。数百ページに及ぶ複雑な法案資料も、視覚的なインフォグラフィックに圧縮してコミュニティに共有する。その後、参加者の意見をAIが集計し、過半数を得た案を「コンセンサス」として記録する。議会での法案採決においても、このプロセスを直結させる方針だ。
支持基盤は先住民やアフロ系住民など1万人を超え、汚職や労働問題、最低賃金といった国政の争点についてもAIが分析・発信を行っている。SNS上では、ブロックチェーン技術による投票の透明化や、市民が直接法案を作成・提出する「直接民主主義」の補完機能としての可能性も強調されている。
技術的な懸念として、意図的な世論操作(妨害工作)の可能性が指摘されているが、レドンド氏は「6千人規模の協調した組織的行動がない限り、合意形成の結果を覆すことは困難だ」との見方を示す。システム運用は3台のサーバーで賄い、環境負荷を最小限に抑えるとする一方、データ保護や大量の意見処理における技術的課題の継続的な改善も認めている。
レドンド氏は、過去4年間の国内法案を分析した結果、特定の伝統料理を称賛するだけといった、緊急性や公共性の低い議案が散見されると指摘。データに基づく合理的な合意形成により、立法過程の質的向上が図れると主張する。また、ガイタナは議員に付随する各種特典や手当を受給しない方針を規約に明記し、既存政治との差別化を図っている。
若年層の関心は一定程度集めているものの、調査によれば24歳未満の有権者で投票に意欲を示すのは約3分の1に留まっている。コロンビアでは3月8日に議会選挙、5月31日には大統領選の第1回投票が控える。現職のペトロ大統領は憲法の規定により再選が認められておらず、政治の転換点を前に「AI候補」という新たな試みが有権者にどう響くかが注目される。








