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ルーラ=領土問題より大統領選=べネズエラ大統領と会談=野党に不当抑圧続く中

2024年3月5日

マドゥーロ大統領(左)とルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)
マドゥーロ大統領(左)とルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)

 ルーラ大統領は1日、ベネズエラのマドゥーロ大統領と会談を行った。両大統領はこの会談で、ベネズエラで今年の下半期に行われる予定の大統領選について話し合ったが、ベネズエラとガイアナの間の領土問題の火種となったエセキボ地区の問題については触れなかった。1日付G1サイト(1)やアジェンシア・ブラジル(2)などが報じている。
 ルーラ大統領とマドゥーロ大統領との会談は1日午後、カリブの島国サンヴィセンテ・グレナディーンの首都キングスタウンで行われた。ルーラ大統領は1日から始まったラテンアメリカ・カリブ共同体(Celac)首脳会議に参加しており、二国間会議は同会議に合わせて開催された。
 ルーラ氏とマドゥーロ氏との話は1時間強以上に及んだ。同会議にはマウロ・ヴィエイラ・ブラジル外相も参加した。
 会議後で外務省を通じて発表された声明によると、この席での主な議題はベネズエラでの大統領選についてだった。大統領選は日程さえ決まっていないが、マドゥーロ大統領は、「野党側との話し合い次第だが、今年の下半期には必ず行う」と話すにとどまっている。
 ベネズエラでは、2013年に病死したチャベス前大統領の後をマドゥーロ氏が受け継いで以来、選挙ごとに不正や野党に不利な状況が発生。野党が過半数を占めていた国民議会を骨抜きにするために、マドゥーロ氏ゆかりの人物で制憲議会を作った2018年の大統領選は野党が引き上げた状態で行われた。この時の選挙ではブラジルを含む多くの国がマドゥーロ氏ではなく、当時の国民議会議長だったフアン・グアイド氏を大統領として承認していた。
 今回の大統領選では、ベネズエラ政府と反政府勢力がノルウェーの仲介で今年の大統領選の実施条件を定め、2023年10月に署名したバルバドス合意が履行されるかが注目されている。また、米国も「透明性ある公正な大統領選」を経済制裁解除の条件にするなど、国際的な関心度は高い。
 経済制裁は基幹産業である石油採掘と売買にも関わることであるため、マドゥーロ氏は公正な選挙を行うことを宣言している。だが、既に野党側の有力候補のマリア・コリーナ・マチャド氏が出馬を禁止されるなど、不穏な動きも出始めている。
 この会議で選挙に関して何が話し合われたかの詳細は、明かされていない。
 今回の会議では、選挙の他に、先住民ヤノマミ族の居住地で行われている金などの鉱物資源の違法採掘撲滅対策などについても話し合われた。ヤノマミ族の居住地はブラジルとベネズエラにまたがっている。また、両国の経済や貿易に関しても話し合われている。
 だが、エセキボ地区についての話はこの会談では出なかった。ルーラ氏はこの前日の2月29日、エセキボ問題の当事者であるガイアナのイルファン・アリ大統領と直接会い、「南米で戦争は起こさせない」と宣言していた。この問題は、ベネズエラが19世紀から領有権を巡って争っており、ガイアナの国土面積の約7割を占めるエセキボ地区で、112億バレル以上の埋蔵量を誇る油田が発見された後に自国領土であると主張し始めたことで、一触即発の状態となっている。ブラジルは両国と国境を接する唯一の国で、国境沿いのロライマ州の警備も、ベネズエラが強行した国民投票以来、厳戒態勢となっていた。
 エセキボ問題に関しては昨年の12月に一度、「武力行使は行わない」との約束が決められた後、ブラジルで外相会談が行われた。この後はやはり、ブラジルの仲介の下で首脳会談を行うことになっている。


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