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ブラジル・フランス首脳=持続可能成長に大型投資=酋長「穀物鉄道に反対」

2024年3月28日

先住民族指導者のラオニ氏(中央)の顕彰式典に出席したルーラ大統領と(左)マクロン大統領(右)(Foto: Ricardo Stuckert/ PR)
先住民族指導者のラオニ氏(中央)の顕彰式典に出席したルーラ大統領と(左)マクロン大統領(右)(Foto: Ricardo Stuckert/ PR)

 エマニュエル・マクロン仏大統領のブラジル公式訪問初日の26日、来年COP30(気候サミット)が開催されるパラー州ベレン市でルーラ大統領(労働者党・PT)と会談し、法定アマゾンと仏領ギアナにおける持続可能な経済プロジェクトに10億ユーロ(53億レアル、1638億円相当)を投資するプログラムを発表。両首脳は、炭素市場のより効果的な運用についても意見を一致させた。
 また、両首脳は、国際的に認められた先住民族代表のラオニ・メトゥクティレ酋長に対するレジオンドヌール勲章の顕彰式典に出席。ラオニ氏はスピーチの中で、穀物鉄道(フェログラン)の建設プロジェクトを承認しないよう、明確に要請した。26日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
 ブラジル政府とフランス政府の共同声明によると、バイオエコノミーへの投資はブラジルの公的銀行とフランス開発庁が協力し、今後4年間で行われる。また、民間投資も計画されている。バイオエコノミーとは、生物資源やバイオ技術を活用して持続可能な成長を目指す考え方。
 この計画は、「森林の保全と持続可能な管理」と「その領土の経済的価値化」を組み合わせると同時に、「先住民族と地域社会を意思決定の中心に据える」ものでなければならない、と文書は述べている。
 さらに、行動計画では、大量の炭素排出を吸収する生態系である「自然吸収源の回復に投資する森林国」に対価を提供する炭素市場の開発を提案している。
 「我々は、伝統的な知識と森林管理の実践を通じて、生物多様性の保護に不可欠な役割を果たすアマゾンの先住民族と地域社会を支援する」とも、文書は強調している。
 両首脳は両国政府に対し、この市場を設立するための交渉をできるだけ早くまとめるよう求めた。炭素クレジット取引の仕組みを構築することで、森林の保護と回復に最も投資している国での環境的・社会的に完全性の高いプロジェクトへの資金提供が可能になるという。
 両首脳は会談後、小型ボートでコンブー島に向かい、先住民指導者のラオニ酋長と会談し、顕彰式典に参加した。(3)(4)
 マクロン大統領からフランス最高の栄誉であるレジオンドヌール勲章を授与されたラオニ氏は、「ルーラ、聞いてください。私はあなたの就任式で、一緒に大統領府の階段を登った。フェログラン建設プロジェクトを承認しないでいただきたい」と訴えた。「私は常に、森林伐採は許されないと主張してきた。採掘は容認できない。だから大統領、これ以上、森林伐採が起こらないように努力してください」と付け加えた。
 フェログランは、全長933キロ、総工費120億レアルの鉄道プロジェクトで、パラー州ミリチツーバ港~マット・グロッソ州シノップ間を結ぶものだ。
 この鉄道は中西部で生産される大豆やトウモロコシ、綿花の一部を北部の港に運ぶことができるため、アグリビジネス界から称賛されている。同鉄道は一種の「穀物ベルトコンベアー」となり、コストが高く効率的でない道路輸送に取って代わることになる。業界の試算によると、30年後には4860万トンを輸送し、16万人の雇用を創出し、生産にかかる物流コストを約200億レアル削減できるという。
 他方、同鉄道は約2600人が暮らす永久保護地域や先住民族の居住地を縦断するため、環境保護や先住民族の権利に対する懸念が高まっている。


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