ブラジルが世界の中心?!=波紋呼ぶIBGEの新地図

地理統計院(IBGE)が作成した新しい学校用世界地図の中心にブラジルが配置されたため、ネット上で議論を呼んでいる。この新しい地図には主要なG20加盟国や、ブラジルと外交関係を持つ国々に色分けされており、地図の政治的な意図や国際関係が焦点となり、賛否両論の意見が巻き起こっていると13日付エスタード紙(1)が報じた。
国際社会でスタンダードとされている欧州とアフリカを中心に据えた世界地図は、ブラジルでも一般的だ。これは経緯0度のグリニッジ天文台を基準にしたもの。
IBGEのマルシオ・ポシュマン院長は、この改訂版はブラジルが現在G20の議長国であることに触れ、「グローバル・サウスの台頭は、我が国の世界地図における位置づけの変更と密接に関係している」と述べた。
さらに地図の中に「北半球中心主義の西洋的モダニティプロジェクト」の優越性を表現していると付け加えた。ソーシャルメディア上では、この新しい地図帳とその正当化を批判するユーザーもいた。他の国でも同様の形態で地図が作成されているという意見もある。
地図製作において、19世紀まで各国は自国の子午線を原点とし、そこから経度を東西に分割していた。しかし、地理座標の違いから生じた困難が、1884年の国際子午線会議での標準化の必要性を引き起こした。この会議で、イギリスのグリニッジ天文台が地図上のゼロ地点として選ばれた。だがこれは当時のイギリスの経済的、軍事的、文化的な影響力を反映した結果でもあった。
16世紀、大航海時代の産物として最初の世界地図が欧州に登場し、ポルトガル人の探検によって新大陸が知られるようになった。それ以前の地図は主に欧州、北アフリカ、一部のアジアに限定されていた。
現在広く知られている欧州が上部、大西洋が中央に配された地図は、16世紀の欧州中心のビジョンから広まったもので、オランダの地図学校が印刷を用いて地図を複製することで普及したとされる。
16日付テラ・サイト(2)によると、IBGEの新しい地図は、同院のオンラインショップでA3判サイズ、10レアル(約300円)で発売開始され、わずか数時間で完売した。販売開始前から多くの注文や問い合わせが寄せられており、反響の大きさが窺える。同院は再販準備を進めていると報じられた。
13日付メトロポレス紙サイト(3)で、元ヴェージャ誌編集長のマリオ・サビノ氏は、「PTのIBGEと、存在しない世界の架空の中心としてのブラジル」との見出しのコラムで、《ブラジルを世界地図の中心に据えたIBGEの世界地図はナンセンスだ。世界の中心であるということは、優れた開発指標を持っているということである》と釘を刺した。