《記者コラム》10年後も見通せる=コパ・アメリカの若いセレソン

6月20日から始まるサッカー大会「コパ・アメリカ」の出場選手23人が10日に発表された。その陣容が興味深かったのでここで語っておきたい。
まず特筆すべきは、ネイマール、カゼミロの名前がなかったことだ。さらに言えばリシャルリソン、ガブリエル・ジェズスの名前もない。少し前までのセレソンしか知らなければ随分と大胆な選出に見える。
だが、今回のセレソンはそこがいい。「実績」ではなく、あくまでも今現在の選手のコンディションに公平にこだわったドリヴァル・ジュニオル氏らしい英断のように思う。ネイマールは故障中なので将来的にはわからないが、10年近く中盤の底を務めているカゼミロの体重増加、体のキレの劣化を見逃さず、厳しく判断したのは若手選手たちのチャンスにもつながる。
またセンターフォワード候補のリシャルリソン、ジェズスに関してはまだ27歳と働き盛りでトッテナム、アーセナルと強豪クラブに所属こそしているものの、試合ごとの安定感に欠けている。この2人に関しては今後の「再生」を期待した愛のムチのようにも見える。
そして選ばれたメンバーには、近年のブラジルサッカーの若手選手台頭の痕跡が見て取れる。長年の課題だった中盤はルーカス・パケタ、ブルーノ・ギマリャンエス、ドウグラス・ルイス、アンドレアス、ジョアン・ゴメスと、いずれも現在プロ・リーグとしては最高レベルのイングランド・プレミア・リーグのレギュラー選手だ。機能をはっきり分けすぎるブラジル流とオールラウンダー的な欧州流で中盤の違和感が長年あったが、ここが解消されつつあるのは嬉しい。
そして現在の両エース、ヴィニシウス・ジュニオルとロドリゴを筆頭としたフォワードは人材が豊富でリシャルリソンやジェズスが余るのも無理がないほど。今回選ばれた選手以外にもヴィットル・ロッケ、マルコス・レオナルド、マテウス・クーニャ、ジョアン・ペドロが控えるなど有望選手が目白押しだ。
そしてキーパーのベント、右サイドバックのヤン・コウト、センターバックのベラウド、右ウイングのサヴィーニョ、そして17歳のセンターフォワード、エンドリックなど2026年W杯のみならず30年、さらに10年後の34年でも主力になれそうな若手を各ポジションに配しているのも見ものだ。
才能には問題ない。あとは彼らを一つのチームとしてどうまとめ、どう機能させ、自信を植え付けるか。そこだけだ。(陽)