マリエレ殺害事件=「1千万ドルと引換えに」=レッサ証言をテレビ放映=ミリシア支配権の譲渡で

26日、2018年3月に起きたマリエレ・フランコ・リオ市議殺害事件の実行犯でミリシア(民兵)のロニー・レッサ容疑者の司法取引の内容の一部が公表された。それによると、レッサ容疑者は命令犯と目されているドミンゴス・ブラゾン容疑者から1千万ドル相当の将来的な収入と引き換えに殺害計画に加担したという。同日付メトロポレス(1)などが報じている。
司法取引の内容は26日に放送されたグローボ局の報道番組「ファンタスチコ」で、映像と共に紹介された。レッサ容疑者はその映像の中で、リオ州会計検査院判事だったドミンゴス容疑者から、リオ市北部ジャカレパグアーにあり、ドミンゴス氏と実兄でリオ市議(当時、後に下議)のシキーニョ容疑者が影響力を持つ土地の支配権を、レッサ氏らが所属するミリシア集団「エスクリトーリオ・ド・クリーメ」に与えることを条件にマリエレ氏を殺害されることを依頼されたという。
レッサ容疑者によると、ブラゾン兄弟からの殺害依頼は彼と(ミリシアの1人で2021年に射殺された)エジミルソン・ダ・シルヴァ・デ・オリヴェイラ容疑者(通称マカレ)に対するもの。
同容疑者は「誰かを殺すだけで1千万ドルを提供する人はいない。私はマリエレを殺すために雇われたヒットマンではない。私は(ブラゾン兄弟と)パートナーシップを組んだ」と語り、将来的に1千万ドル相当の利益を生む地域の支配権を譲渡される約束と引き換えに暗殺を引き受けたことを明かした。
レッサ容疑者らは、ブラゾン兄弟が提供すると約束した土地で「ガットネット(違法ケーブルテレビ・サービス)や違法ガスの供給などで儲けるつもりだったし、新しいミリシア・グループ結成も考えていた」と言う。
同容疑者はマリエレ容疑者に関しても触れており、「彼女はリオ市西部の多くの地区のリーダーに呼びかけ、ミリシアの支配地域に入らないよう、会議を開いていた。それがドミンゴス氏が我々に殺害を命じる理由になった」と語っている(2)。
また、レッサ容疑者はブラゾン兄弟には計3回会ったと話している。2回は犯行前、1回は犯行後だったという。
ブラゾン兄弟の弁護士は、「全くの作り話で、すぐに崩すことが可能なセオリーでしかない」とレッサ容疑者の証言を否定している。
さらに、27日にG1サイト(3)が行った報道によると、ドミンゴス兄弟はマリエレ氏以外にも、彼女が所属していた社会主義自由党(PSOL)の有力政治家の動向を追っていたという。これは、ミリシア集団「ラエルテ・シルヴァ・デ・リマ氏と妻のエリレイデ氏が2017年にスパイとしてPSOLに入党していた事実を指す。これは後に判明して2人は2020年に党を除名されている。
「ドミンゴス氏はPSOLにスパイを潜入させていたことやそこで得た情報を話していた。話の中で出てきたのはマリエレ氏のことだけではなく、マルセロ・フレイショ氏、レナト・シンコ氏、タルシジオ・モッタ氏など、PSOLリオ支部の要人たちについても話していた」と語っている。
フレイショ氏はマリエレ氏の上司で、2016年のリオ市長選で次点となって一躍脚光を浴びていた。レッサ容疑者は以前も、PSOLにスパイが潜入した頃からフレイショ氏に関して調べ始めたことを認めていた。