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RS州大水害=僅か5秒で濁流の中に=母子が語る恐怖の体験

2024年5月29日

タクアリ市の病院のスタッフと共に(左から2番目がエルヴィラ氏、右端がジョアン氏)(22日付G1サイトの記事の一部)
タクアリ市の病院のスタッフと共に(左から2番目がエルヴィラ氏、右端がジョアン氏)(22日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】4月末から5月5日にリオ・グランデ・ド・スル(RS)州を襲った豪雨は、世界中が注目するほどの大水害を招いた。タクアリ渓谷のクルゼイロ・ド・スル在住の母子が豪雨の凄まじさを語っている。
 22日付G1サイト(1)が報じたのは、自宅にいたら増水し、あっという間に家も崩壊。濁流にのまれ、60キロ流された末、5日後に救われたというエルヴィラ・ポリッポ氏(55)と息子で35歳のジョアン・エミリアノ・サラモニ氏の実体験だ。
 エルヴィラ氏夫妻と手術後で休養していたジョアン氏は、集中豪雨で川が増水し、家の中になだれ込んできた時、2階建て家屋の2階部分にいた。だが、急な増水で逃げ場を失ったため、天井に穴を開けて飼い犬と共に屋根の上に逃げた。
 だが、ちょうどその時、隣の家の倉庫が崩れ、木材が自宅に打ち付けた。ジョアン氏によれば、その衝撃で家が震えるのを感じてから約3秒後には自宅も崩壊し始め、5秒後には皆が濁流の真ん中にいたという。
 屋根や枝にしがみついたエルヴィラ氏とジョアン氏は水没を逃れた上、エルヴィラ氏は救命胴着も着用できたが、エルヴィラ氏の夫の姿はすぐに見えなくなったという。
 他方、濁流にのまれた家はまるで弾丸のように川を下り、屋根にしがみついていたエルヴィラ氏は波にもまれて浮き沈みする内に、3~4回水も飲んだ。
 その後、川の中ほどに瓦礫や枝に覆われた地域があるのを見たジョアン氏は、生き延びられる最後のチャンスと感じ、母親と共にそこに留まろうとした。母子はそれから5日間、流されてきた冷蔵庫の扉でバランスを取り、瓦礫の傍で見つかったオレンジやクルミなどを食べながら救助を待った。
 冷蔵庫の扉の上にいたジョアン氏に気づき、二人を救ったのは、ボートで生存者を探していた3人のボランティアだ。エルヴィア氏らは自宅から約60キロのタクアリ市ベイラ・ド・リオ地区で救われ、同市サンジョゼ病院に運ばれた。
 二人はそこで医学的及び心理的治療を受けた後、退院し、親戚の家に身を寄せたが、エルヴィラ氏はその後、レプトスピラ症を発症し、再入院している。
 エルヴィラ氏の夫でジョアン氏の父親は未だに消息が分からない。ジョアン氏は、「父のことを思うと心の中に穴が開いたような気持ちになるが、神様は自分達によくしてくださった」と言う。
 エルヴィラ氏達が語るように、今回の集中豪雨では昨年9月の大洪水や1941年の大洪水よりも短期間により多い雨が降り、あっという間に川が増水。逃げる暇さえなく死亡した人や、助かったものの、家族やペットを失った人も多い。
 14日付ガウッシャZH(2)によると、グアイバ湖の水位がこれまでで最高だった1941年は、4月10日からの35日間の雨が、サンタマリアで905・3ミリ、クルス・アルタで728・7ミリ、グアポレで706・7ミリ、タクアリで624・6ミリ、ポルト・アレグレで619・4ミリ、ジュリオ・デ・カスチリョスで603・3ミリだった。
 他方、グアイバ湖の水位が新記録を更新した今年は4月26日~5月13日の18日間だけで、ベント・ゴンサルヴェス835・4ミリ、カネラ812・2ミリ、ソレダデ747・6ミリ、セラフィナ・コレア724・4ミリ、カンバラ・ド・スル653・4ミリ、サンタマリア632・6ミリ、リオ・パルド586・8ミリ、カンポ・ボン572・2ミリ、ツパンシレタン531・4ミリ、ポルト・アレグレ530・4ミリと、広範囲かつ大量の雨を見た。
 強い雨は14日以降も続いており、17日はポルト・アレグレ市内のショッピングセンター地下にあるペットショップが浸水被害に遭い、従業員達が逃がせなかった動物達が大量死するという事態も起きている(17日付コレイオ・ブラジレンセ(3)参照)。


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