site.title

中銀=利下げサイクル一時中断=10・50%P据え置き=ガリポロの手腕疑う声も

2024年6月21日

ガリポロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)
ガリポロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 19日、中央銀行通貨政策委員会(Copom)が経済基本金利(Selic)を10・50%に据え置くことを決め、7回続いた切り下げサイクルが一時中断した。これは予想通りの動きだったが、労働者党(PT)関係者の中には、連邦政府側の理事のガブリエル・ガリポロ氏が無力だとして、次期中銀総裁の座は遠のいたと見る向きが出ている。同日付G1サイト(1)(2)などが報じている。
 今回のSelicは、委員9人の意向が全員一致しての10・50%据え置きだった。前回の5月8日に0・25%の切り下げに終わった時は、5人が0・25%ポイント(P)減、4人が0・50%P減と意見が割れていた。
 Selicは、ボルソナロ政権時に13・25%まで上がった後、長期間据え置かれ、経済活動を抑制することを懸念するルーラ政権が下げるよう圧力をかけた結果、昨年8月から0・50%Pずつ下がっていたが、前回会合で切り下げ幅が縮小し、今回で切り下げサイクルが一時中断。今後再開する余地を残している。
 Selicが据え置かれたことに関して、Copomはその理由として、「米国政府の金融緩和政策により、世界経済の先行きが不透明になったこと」と「国外からのインフレ圧力への懸念」をあげている。
 また、それに加えて、国内での懸念として、財務省が基礎的財政収支の赤字ゼロという財政目標を変更したことや、ペトロブラスの総裁が交代したことなども挙げられている。
 そうした不安定な状態が比較的長く続くと見られることから、委員たちの間では、Selicは2024年いっぱい、10・50%のままで据え置き、次の切り下げが起こるのは2025年に入ってからになるだろうとの見方が共有されている。
 前々回までの会合では、2024年の終わりまでにSelicは9・00%まで下がるだろうと見られていた。
 今会合での据え置きは事前に予想されていたが、世界的な金利に比べるとまだまだ高いとの不満を持っていたルーラ大統領はこれを牽制するように、前日18日のCBNラジオのインタビューで、中銀のロベルト・カンポス・ネット中銀総裁は「国の利益のために働いていない」とし、同総裁が2026年大統領選への出馬が予想されているタルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事の財相を引き受けるのではないかとの噂を信じるような口ぶりで批判していた。
 今回の会合後、PT関係者からは、経営審議会の委員であるガブリエル・ガリポロ氏の影響力不足を指摘する声が出ている。ルーラ氏やPTは昨年、中銀がSelicを下げないことへの対策として、フェルナンド・ハダジ財相の右腕で、財務省ナンバー2だったガリポロ氏を中銀理事(審議会の委員兼任)に指名することで中銀をコントロールしようとしていた。
 ガリポロ氏は来年早々に任期が代わる中銀総裁の最有力と見られていたが、前回、今回の会合の結果、それが遠のいたと見る向きが出ている。ルーラ大統領も18日のインタビューで次期中銀総裁に触れた際、「市場の声に影響されない成熟した人物」と、自身が指名する候補の条件を挙げている。
 そうしたことで、次期中銀総裁候補として、社会経済開発銀行(BNDES)元総裁のアンドレ・ララ・レゼンデ氏の名前が挙げられ始めているという。


RS州大水害=保険請求額38・8億レに=7月までに仮設住宅500戸前の記事 RS州大水害=保険請求額38・8億レに=7月までに仮設住宅500戸20日よりブラジルは冬に突入次の記事20日よりブラジルは冬に突入
Loading...