site.title

小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=3

2024年7月9日

「そうだ。……しかし、この素晴らしい景色を眺めたあと、また、あのすえた臭いの充満する陰気な船底の三等船室へ潜り込むのかと思うと、気が滅入る」
「ウラジオストックへ上陸し、露都モスコーを通ってロンドンへ――。長旅は思わぬ出費のかさむものだった」
「お蔭で、ロンドンからは三等船客の切符を買うのがやっとだった。皇国植民会社の水野社長は〝諸君はブラジルに着いたら外交官待遇でもてなされるのだ。諸君もキチンとしてくれなければいかん″と激励してくれたが、その外交官がこんなみじめな三等船客では恥かしい」
「この船にもリオに赴任する若いイギリス人外交官が乗っているが、彼は三等書...

会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...