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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=4

2024年7月11日

 色の白い男が「仁平嵩」(にへいたかし)と名乗った。
 キリッとした細面の小男は「加藤順之助です」と言った。
 横柄な感じもする大男が「大野基尚」。優しい感じの「嶺昌」(みねまさる)。
 小兵だがガッチリした男は「平野運平」と言って頑を下げた。
「鈴木くん、電報でも知らせたが途中の旅費がかさんで、現在の我々は大日本帝国外交官としての体面を維持できぬ状態にある」
 一番年長の大野が沈痛な表情で言った。
 鈴木貞次郎は、ブラジル視察に来た移民会社の水野竜に伴われて、二年前にこの国に来た。なんとなくチリに行って一稼ぎしようと思って乗った船に水野も乗っていて、移...

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