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下院が税制改革細則を承認=26・5%上限で肉魚免税=貧困層に返金、上院審議へ

2024年7月12日

10日の下院(Lula Marques/Agencia Brasil)
10日の下院(Lula Marques/Agencia Brasil)

 10日、下院で、税制改革における免税や減税の対象となる品目などを定めた細則案の審議が行われ、賛成多数で承認された。肉類が基本食品(セスタ・バジカ)として免税対象となることなどが注目されている。同日付G1サイト(1)などが報じている。
 この日審議されたのは、財政改革で導入される付加価値税(財サービス税・IBS、財サービス負担金・CBS)と選択税(インポスト・セレチーヴォ)をどうやって運営していくかの細則をまとめたものだ。これらの税は従来の社会統合基金(PIS)や社会保険融資納付金(Cofins)、商品流通サービス税(ICMS)、工業製品税(IPI)、サービス税(ISS)と、従来は細かく分かれ過ぎて煩雑になっていた税を統合したものだ。
 細則案は、賛成336票、反対142票、棄権2票の圧倒的な票差で承認された。反対票の内、76票はボルソナロ前大統領の自由党(PL)で、シダダニアとノーヴォを除いた他の政党は全て、賛成票が反対票を上回った。
 細則承認で明らかになったことの一つは、今回の改革で国民が負担する税額が上がるわけではなく、支払う税金の額は変わらない、ということだ。新税制では26・5%が税率の上限となる。
 さらに、従来のPISやCofinsは累積課税が前提とされてきたが、これらの税金は累積課税がなくなる。
 さらに注目されたのは、免税対象となるセスタ・バジカに肉類や魚類が加えられたことだ。牛肉、豚肉、鶏肉などの動物由来の製品が全て免税対象となるが、フォアグラは例外。魚や魚肉も免税対象だが、サーモンやマグロ、タラ(bacalhau)、コダラ(hadoque)、サイス(saithe)、魚卵は例外。
 同様にセスタ・バジカの対象となったのは、米、牛乳や乳児用調製粉乳を含む乳製品、バター、マーガリン、卵、豆類、根菜や塊茎、ヤシの実、コーヒー、大豆油、キャッサバ粉、小麦粉やひきわり穀物、トウモロコシの加工品、その他の粉類、砂糖、パスタの一部、普通のパン、チーズ、ヨウ素添加の塩、トウモロコシ油、オーツ麦、ナッツ、キノコやトリュフを除く野菜、果物、食用・薬用・観賞用の植物などが免税となり、甲殻類、発酵乳や乳飲料、蜂蜜、マテ、シリアルやフレーク状の穀物類、タピオカ、パスタの一部、果物や野菜のジュースなどが60%の減税となる。
 また、購入時は額面通り払わなければならないが、1人あたりの世帯所得が最低賃金の半分で生活扶助を受けている家庭には税額が返金されるキャッシュバックでも具体的な提案がなされた。それによると、台所用のガス代や電気代、水道代はCBSで全額、IBSで20%の返還が行われる。
 また、健康や環境に良くないとされるものに課す選別税の対象となるのは、タバコ、アルコール飲料、加糖飲料などで、航空券、鉄鉱石や石油・天然ガス、くじ、自動車(電気製も含む)も対象となる。
 薬品に関しては、従来の税制でも全額免税対象だった383品目に関してはそのまま免税を維持。免税対象外の薬品に関しても、国家衛生監督庁(Anvisa)で認可されている薬品や調整薬局で作る薬品すべてに40%の免税が行われるとしている。
 これらはすべて段階的に行われ、法案すべてが有効となるのは2033年になってからだ。
 法案は今後、上院に回されるが、変更が加えられる可能性を残している。特に、消費量の多い肉類をセスタ・バジカに加えたことには議論の余地があり、アルトゥール・リラ下院議長も「貧困層より富裕層を利する可能性がある」との懸念を示していた(2)


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