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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=11

2024年7月25日

 今までの彼は、なるべく運平と視線を合わさぬようにしていた。
 西は笑いながら、
「仲良くやりましょう」
 と言った。
 運平は領いた。
 西は声をひそめて、
「おれとあなたが力を合わせれば、皆があとをついて来る」
 と、言った。
 その意味が判かると、運平は不愉快そうな表情になって、窓の外を見た。船中の集団生活の連絡係としての西の役割りは、旅と共に終っていたのだ。それなのに、この男はずっと指導者でいたがっているよう
だった。
 農場に着いたら指導者など要らない、と運平は思った。一人一人が一生懸命に働くだけのことだ。そして自分は通訳にすぎない。
...

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