G20=リオ市での準備会合続く=富裕層への課税検討進む=飢餓対策の「世界同盟」も

11月18~19日に開催されるG20首脳会議(サミット)の会場となるリオ市では、本番に向けた閣僚会議やそれと並行する形の準備会合が続いている。
今年のG20議長国はブラジルで、社会の多様な声を議論に反映させて国際社会のリーダーに届ける運動としての「G20ソーシャル」を連邦政府が提案。22~26日に開催される準備会合には経済当局のハイレベル会合や社会分野の閣僚会合、市民団体などが参加する会合も含まれ、「飢餓と貧困に対する世界同盟」立ち上げなどがハイライトとされている(22日付アジェンシア・ブラジル(1)参照)。
22日付アジェンシア・ブラジル(2))によると、ルーラ大統領は22日にトニー・ブレア英国元首相とも会い、9月の国連総会と並行して開催される民主主義擁護の会合について話し合うと共に、飢餓との戦いと超富裕層への課税という、G20の主要テーマについても話し合った。
準備会合の一つは22~23日に開かれたファイナンス・トラックの一環である財務省や中銀の代表者による会議で、国際課税や超富裕層への課税、金融包摂、多国間開発銀行の改革、マクロ経済上の問題などを協議した後、25~26日に開かれる財相・中銀総裁会議に提出する共同文書も作成。この会議の内容は、11月に開かれるサミットの最重要テーマの一つだ。
21日付アジェンシア・ブラジルなど(3)(4)によると、持続可能な発展を保証するための「将来の国々」と題する会合も22日から始まり、市民団体や専門家、大学や国際機関の代表らが参加。新開発銀行(通称BRICS銀行)総裁でブラジル元大統領のジルマ氏や、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関元理事でチリ元大統領のミシェル・バチェレ氏なども交えた会合では、気候変動の影響、国の参加による統治や支援を受けていない人々の生活条件改善などの議題を分析した。
22、23日付アジェンシア・ブラジル(5)(6)によると、開発相会合はマウロ・ヴィエイラ外相が司会を務め、ジャデル・フィーリョ都市相が飲料水や基礎的な衛生設備への普遍的なアクセスの重要性に注意を喚起。国内の官民部門や国際社会からの関与も呼びかけた。シモネ・テベテ予算企画相も社会政策の重要性を強調した。
「飢餓と貧困に対する世界同盟」(Aliança Global contra a Fome e a Pobreza)に関する会合も注目を集めており、ルーラ大統領が「食糧は足りているのに飢餓が根絶できないのは食糧にアクセスする条件が整っていないから」とし、飢餓対策の重要性を強調24日付アジェンシア・ブラジル(7)参照)。ジャンジャ大統領夫人も24日夜、「世界同盟はより平等な社会構築のために有効で、人々に希望を与えるもの」と会衆に語りかけた(24日付アジェンシア・ブラジル(8)参照)。
24日付アジェンシア・ブラジル(9)(10)によると、ハダジ財相も24日、超富裕層への課税に関する話し合いが進んでいることなどを受け、ブラジルは世界同盟への取り組みのための資金調達源として超富裕層への課税から得られる財源に依存していると発言。持続可能な開発は世界的に重要な課題の一つだとも強調した。
24日付アジェンシア・ブラジルなど(11)(12)によると、同日はウエリントン・ジアス飢餓対策・家庭社会支援・開発相も、国連食糧農業機関(FAO)による「世界食糧不安の現状に関する国連報告書」(Sofi2024)を踏まえ、2023年は飢えに悩まされているブラジル人が1470万人減ったと発表し、飢餓への取り組みの重要性を強調した。
一連の会議に参加している世界銀行総裁も24日、ルーラ大統領との会談の中で、世界同盟への支援を表明している(24日付アジェンシア・ブラジル(13)参照)。