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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=20

2024年8月13日

 牧之段一家は三人で一袋しか摘めなかった。明日から段々馴れたとしても、とうてい移民会社が日本で宣伝したように一日一人四~五袋とれるとは思えなかった。
 今朝出て来たときは寒かったが、期待にあふれていた夕方になって、晴れた夜空が青い水のように冷気を空一面にはりめぐり始めたとき、没した日光の輝きと共に希望までが消えたような感じだった。皆、黙りこくっていたが不満が湧いていた。しかし、それ以上に空腹だった人々は家へ入った。やっと飯ができ、食い終ると、待ちかねたように睡気が襲ってきた。

 ……十日、二十日とまたたくうちに日が過ぎた。そしてコーヒー園労働に対する移民たちの幻...

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