9月の火災は30%増=7~9月だけで32万件

【既報関連】国立宇宙研究所(Inpe)が、9月の火災件数は8万件超で1998年以降の平均件数より約30%多く、7~9月の累計31万9383件は2010年以降で最多と発表したと9月30日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。9月の件数は1万8千件だった昨年同月の4倍超だ。

1~9月の数字は全地域で昨年同期を上回っている。増加が顕著なのは中西部で、マット・グロッソ・ド・スル州の1万1990件は601%増。以下、連邦直轄区318件269%増、マット・グロッソ州4万5千件217%増と続く。マット・グロッソ州の9月の火災件数1万9439件は全体の23・8%を占め、累計でも9月単独でも従来の火災最多州のパラー州を超えた。パラー州の9月の火災件数は1万7297件で21・2%を占めた。
南東部で火災件数が最も増えたのはサンパウロ州で、1~9月は7855件で428%増えた。リオ州も1074件で184%増を記録した。
サンパウロ州での火災は9月に集中しており、全国の火災の3%にあたる2445件を記録。9月28~29日の48時間では65件で、9月29日現在も大規模火災となったジャタイー生態保護区を含むリベイロン・プレット地方4市で火災が報告されていた。
火災の影響に関する報告書は9月26日に二つ出た。同日付G1サイトなど(2)(3)によると、ブラジル農牧連合(CNA)は、7~8月は農牧地280万ヘクタール(ha)を焼失し、147億レアルの被害が出たと報告。内訳は、牧畜・牧草地81億レアル、サトウキビ27億レアル、それ以外の一時的・恒久的作物10・6億レアル、柵28億レアルとなっている。牧畜・牧草地は牛の飼育や肉の生産に限定した損失額だ。
損失額上位3州はサンパウロ州28億レアル、マット・グロッソ州23億レアル、マット・グロッソ・ド・スル州14億レアルだ。この金額は、焼失した農地の有機物を置き換える費用、収穫前のサトウキビ生産で生じた損失、牧草地減少による群れの生産性低下、牧草地の柵の喪失、土壌に含まれるリンやカリウムの変化に伴う損失を加味して算出されたものだ。サトウキビは干ばつによる損失に火災による損失が加わった。
他方、9月26日付オ・グローボ(4)によると、全国市連合(CNM)は9月24日までの森林火災による被災者は1540万人、被害額は130億レアルとの森林火災速報を提出。煙による日常生活の変化、医療の必要性、必要不可欠なサービス中断の他、1042人が家を離れざるを得なくなったとしている。被災者は昨年同期比で300万人増えた。火災増で緊急事態を宣言した市は573で、まだ増える可能性がある。一時避難者や家屋喪失者の数を集計できていない自治体も多く、実態はもっと深刻である可能性が高いことも指摘している。
また、現状は「非標準的」で、8~9月のシナリオは特に異常と注意を喚起。早急に具体的な対策や予防策を採らないと、健康や環境、国の発展に多大な影響が出ると強調した。
9月27日付G1サイト(5)によると、アマゾン環境研究所は同日、1~8月の焼失面積は大規模な民間農地、公有地、先住民居住地、保全区域に集中との報告を出した。内訳は、大規模農地が163%増の280万ha、公有地が176%増の87万ha、先住民居住地が80%増の300万ha、保全区域が116%増の1100万haで、不法開墾や不法分譲を行うグリレイロの影響と早急な対策の必要などを指摘している。