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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=66

2024年10月25日

 サトイモに似たものが河辺に自生していた。野生種なのか原住民のインヂオが植えたものか分らないが、掘ってもごつい根ばかりでイモはほとんど付いていない。ズイキを汁の実にしたり、干して貯えたりした。動物の肉ではシカが一番上等だった。タツー(アルマジロ)やケイシャーダ(イノシシ)、ラルガッタ(トカゲ)も旨い、味はおちるがアンタ(バク)やカピバラ(水豚)もいた。しかし、動物を捕るには山へ入って本格的な狩りをしなければならない。そんなヒマはなかった土地を拓き、米や豆やサツマイモや野菜を植えるだけで精一杯だった。
 
 クリスマスが近ずき夏が来て、本格的な雨期に入った運平は実...

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